卵子凍結とは
卵巣から採取した卵子を凍結保存することを卵子凍結と言います。卵子は、精子と受精させる前の未受精卵であることから未受精卵凍結とも言います。
卵子は年齢とともに減少し、その質(受精する力・着床する力など)は低下していきます。
不妊治療をされている方は、年齢による卵子の質の低下が原因の場合が多く、また、卵子の質の低下は治療をすることはできないため、不妊治療は長期化している現状があります。女性には、妊娠・出産において時間的な制限があり、個人差もあります。正しい知識を持たないまま、人生の選択を知らずに時間だけが過ぎていくことのないようにしましょう。自分の人生は自由であり、皆様の意思で多様な選択ができます。
卵子凍結でできること
年齢と共に減っていく卵子を
将来の妊娠のために保管しておける
女性は生まれた時点で、生涯の卵子数が決まっていて、新たに作られることはありません。 卵子の元となる原始卵胞は誕生時の200万個から減少を続け、10代で約20万個、20代で約10万個、30代で2~3万個になります。 通常、女性は思春期になると、この原始卵胞の中から周期的に1つの卵子を成熟させ、排卵するようになります。 その1つの卵子が排卵されるまでの過程で1,000個~2,000個の原始卵胞が成熟できずに消えてなくなります。 卵子凍結はその消えてなくなるはずの複数の卵子の元を排卵直前まで成熟させ採取し、将来の妊娠のためにとっておくことができます。
年齢と共に低下する卵子の質を今のまま
保存し将来の妊娠に備えることができる
精子は毎日新しい細胞が約3か月間かけて作られていくのに対し、卵子は新しく作られることはない細胞です。女性は200万個の卵子を卵巣に貯えて産まれます。その卵子は排卵の出番が来るまで卵巣の中で眠ってまっています。眠って待っているだけなのに、眠りながら老化していきます。
卵子は新しく作られる細胞ではないので、あなたの食生活の影響はほとんど受けません(喫煙の影響は受けるので禁煙しましょう)卵子の老化に影響するのは、卵子が誕生してから今日までの時間、つまりあなたの年齢です。
老化した卵子は、核の不分離を起こす確率が非常に高まり、染色体異常に繋がります。染色体に異常があると精子と受精をしなかったり、受精後に発育が停止したり、妊娠した後で流産したり、あるいはダウン症などで知られる先天性の染色体異常を有した児に繋がります。
卵子凍結をすることで人生の選択枠が増えます。でも、コストがかかり、将来の妊娠が保証されるわけではありません。メリットとデメリットを理解した上で、あなたのライフプランに卵子凍結があったほうがいいのかどうかについて、早い段階で一度考えてみましょう。
凍結卵子は
あくまで選択のひとつ
将来の妊娠を保証することはできません
多くの方のデータを元に、将来の妊娠成績をシミュレーションした上で卵子凍結を行いますが、これらはあくまでも確率論です。個体差が予想以上であったり、将来のパートナーが男性不妊であったりなど、今はわからないことがあります。そのため、卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではないことをご理解ください。将来の妊娠の可能性を高めるための方法です。
体外受精より卵子凍結の方が費用が高くなります
同じ年齢で体外受精と卵子凍結をした場合、体外受精は妊娠への最短ルートをとれますが、卵子凍結は遠回りすることになります。この遠回り分だけ費用がかかります。
卵子は凍結することで質が低下します
卵子は受精卵に比べて水分量が多いため凍結時の水分膨張により組織破壊が起こり、融解時の卵子の質の低下に繋がります。卵子の質の低下はその後の受精や受精卵の発育に悪影響します。このデメリットを考慮した数の卵子を保存する必要があります。
卵子はどのように出来ているのか? なぜ老化するのか? 老化するとどうなるのか?
まずは正しい知識を身に付けてください。選択するのはその後です。
卵子凍結をするまでの流れ
説明会に参加毎月1回
詳細の説明・個別相談
通院 1回目 初診いつでも
問診・検査
通院 2回目 開始生理の2・3日目
卵を育てるために注射を開始
通院 3回目 確認生理から8~10日目
卵の発育度合を確認し、採卵日を決定
通院 4回目 卵子凍結生理から11~14日目
採卵を行い、卵子を凍結保存
注射通院を減らせば
4回来院で卵子凍結が可能
卵を育てるための注射は、生理の2・3日目から12日目くらいまでの間に4~10回くらいあります。頻度が多いため、「自己注射」といって自分で注射ができるように事前にレクチャーを受ける方が多いです。または、お近くの医療機関(婦人科以外でもOK)に薬剤を持参し注射してもらう方法もあります。
卵子凍結ができる年齢を知る
当院では、20歳から44歳の女性の卵子凍結を行っています。卵子凍結の有効性や必要性から考える適切な年齢については次の通りです。凍結卵子の最長保存期間は50歳の誕生日の前日までです。
有効性から考えると34歳まで
卵子の質の低下が少ない20代~34歳までの卵子を凍結保存しておくことは将来の妊娠に有効です。
必要性から考えると36歳前後
研究により、子供1人を90%以上の確率で希望する場合、36歳までに体外受精を開始すれば間に合うという結果がでています(出展Habbeman et al.HumReprod.30;2215-21 2015)この点から考えた場合、36歳までは自然な出会いに身を任せておき、36歳になった時に結婚(事実婚)の予定がなさそうであれば卵子凍結を実施するという考え方もあります。ただし、36歳で卵子凍結をする場合には、卵子の質の低下によるデメリットを卵子数で補うために多めの卵子が必要になり費用に影響します。
それぞれの事情による38歳以上
卵子凍結の目的が将来の妊娠だけであれば38歳以上の女性の卵子凍結保存はお薦めしません。その理由はかかるコスト(時間と費用)と期待できる結果のバランスが悪いためです。しかし、皆様それぞれに思い描く人生は違います。卵子凍結という医療が自分らしい人生に繋げる方法の1つであるならば、よく相談した上で検討していきましょう。
卵子を凍結するまでの治療
STEP1
排卵誘発
生理開始3日目~10日目頃まで
卵子を複数育てるために月経2・3日目から排卵誘発剤を使用します。排卵誘発剤は内服薬・注射・点鼻薬と複数あります。採取したい卵子の数や患者様のホルモン値によって医師と相談の上で誘発方法が決まります。STEP1の通院回数は、自己注射が可能な方は2~3回、自己注射が不可能な方は注射来院も含めて7~8回が平均です。
STEP2
LH サージ誘起
生理開始9日目~13日目
卵子を成熟させるために、採卵の2日前の夜に自分で注射・点鼻薬をします。
STEP3
採卵&卵子凍結
生理開始11日目~14日目頃
午前8時30分に来院して採卵を実施。麻酔をかけて行い、採卵時間は5~10分です(無麻酔希望も可能)採卵が終わり麻酔から覚めた頃、培養士が入院個室に伺います。採取した卵子の状態についてご説明し、凍結する卵子の数を最終決定します。
卵子凍結
超急速凍結法を用いて卵子を凍結します。お子様を授かるタイミングになるまで、3年毎に凍結卵子の更新の有無を確認いたします。
卵子凍結~胚移植にかかる費用(例)
CASE
34歳の女性
8個の卵子を凍結
6年間保存し胚移植へ
卵子凍結までにかかる費用419,010円
初診 | 初診料 | ¥2,880 | ¥29,280 |
感染症検査 | ¥15,400 | ||
IVF術前検査 | ¥8,800 | ||
超音波検査 | ¥2,200 | ||
再診~採卵・卵子凍結 | 採血検査超音波検査 | ¥19,000 | ¥389,730 |
薬・注射 | ¥80,330 | ||
採卵手術 | ¥202,400 | ||
卵子凍結 | ¥88,000 |
卵子の保管にかかる費用88,000円
34歳〜39歳 の保管料 |
2年目 | ¥0 | ¥88,000 |
3年目 | ¥0 | ||
4年目 | ¥88,000 | ||
5年目 | ¥0 | ||
6年目 | ¥0 |
よくある質問
Q1子宮も老化するのに、卵子だけ凍結しても意味はありますか?
年齢に応じて子宮も老化しますが、 子宮の老化は妊娠率・出産率にはあまり影響しません。一方、 高齢女性の出産には多くのリスクがあります。 卵子凍結が、 皆さまの健康や子どもの健康を害することにないように、44歳までには出産しましょう。
Q2 仕事をしながら卵子凍結をすることはできますか?
卵子凍結をされている方のほとんどがお仕事をしていますので、両立できている方が大多数です。通院回数を減らすために、注射の実施を工夫している方が多いです。卵子凍結説明会で卵子凍結までの詳しいスケジュールをお話しします。
Q3卵子凍結のための注射は痛いですか?
卵子凍結では、卵を育てるための注射を4回~10回くらい打ちます。これは筋肉注射ですので、痛みはインフルエンザの予防接種をイメージしてください。多くの方にとって注射は痛いですが、我慢できないほどの痛みではないと思います。
はらメディカルクリニックのご紹介
私たちは1993年創業、都内で最も歴史のある不妊治療や卵子凍結の専門クリニックです。不妊を引き起こす最大の原因は「年齢に伴う卵子の質の低下(卵子の老化)」です。これは食生活の改善や薬では治すことができません。この解決策の1つになるのが卵子凍結=卵子を凍結保存し、将来の妊娠に備えるという女性のためのテクノロジーです。
私たちは、子供を望む全ての人が妊娠できる
社会の実現を心から願います。
院長プロフィール
はらメディカルクリニック 院長宮﨑 薫
医師とは、社会への価値の還元、つまりは生涯で患者様に貢献した差分が価値になると考えています。そのためには、研究と臨床がペアになる必要があります。当院ではこのペアを高い次元で実践し、患者様に寄り添いながら、培ってきた最新の医療技術を使って妊娠という成果をお返しできたらと思います。 「最短の妊娠を」という方針のもと、患者様第一の医療を信条とし、患者様それぞれの身体の状態、さらには社会的状況などに応じて、患者様一人一人に合った、tailor made な治療を提供いたします。
主な経歴
日本産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医、 再生医療認定医、内分泌代謝科専門医 医学博士。 2004年慶應義塾大学医学部卒業、2013年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。 2013年4月東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教 2014年4月慶應義塾大学産婦人科助教。 2017年10月ノースウェスタン大学産婦人科(米国シカゴ)研究助教授。 2018年10月荻窪病院産婦人科勤務。 2020年5月 医療法人社団暁慶会 はらメディカルクリニック 院長就任
ACCESS
医療法人社団暁慶会 はらメディカルクリニック
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-8-10
診療時間案内
診察 受付時間 |
注射・採血 受付時間 |
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月曜日 | 8:30~19:00 | 8:30~20:00 |
火曜日 | 8:30~14:30 | 8:30~18:30 |
水曜日 | 8:30~19:00 | 8:30~20:00 |
木曜日 | 8:30~19:00 | 8:30~20:00 |
金曜日 | 8:30~14:30 | |
土曜日 | 8:30~16:00 | |
日曜日 | 休診 | |
祝日 | 8:30~14:30 |
- *WEBによる完全予約制です。上記時間内に受付を済ませてください。
- *日曜日も胚培養、胚凍結を行っています。
TEL:03-3356-4211(患者様専用)
FAX:03-3226-7505
卵子(未受精卵)
凍結説明会・相談会
説明会でワークを行い4つのことがわかります
- 方法とスケジュール
- 必要な卵子数
- 将来の妊娠率
- 総額のお金
開催日時
7/27(土)15:00~
説明会参加者限定 AMH3,300円!!
卵子の在庫数の目安となるAMHホルモン検査(通常価格7,700円)が3,300円で検査できます。
参加者の声
お話の仕方がとても温かく、真摯に向き合ってきた病院なのだなぁと伝わってきました。内容も綺麗なところや良い風に見せようとしておらず、現実や事実とどんな風に向き合うのか、ベストな選択をするための説明・情報だらけでした。 ありがとうございました。
30歳 会社員 女性
色々なことを深く考えさせられ、お話を聞けて良かったと思います。すぐにでも始めたいところですが、費用や今後のことなど、もう少し検討してみたいと思います。
30歳 会社員 女性
費用面などもシュミレーションでき、具体的に考えることができました。
30歳 会社員 女性