ZyMot(ザイモート)が先進医療に、膣坐薬ルティナス出荷停止をうけて No.161
【1】 ZyMot(ザイモート)が先進医療に
【2】 膣坐薬ルティナス出荷停止をうけて
【1】ZyMot(ザイモート)が先進医療に
ICSI(顕微授精)は、精子を卵子に注入するまでに2つの工程があります。「精子処理:精子の洗浄濃縮」と「精子選別:受精させる精子を選ぶ」です。この工程を以下のイラストでご確認ください。
▼ICSI(顕微授精)の流れと先進医療の選択
https://www.haramedical.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2023/06/ICSI_senshin.jpg
今回お知らせするZyMot(ザイモート)とは、精子処理の工程で、【遠心分離をせずに】精子を回収できる方法です。遠心分離は精子にダメージを与えますので、遠心分離を不要とするこの方法の有効性に期待しています。ZyMot(ザイモート)の詳しい説明は以下をご覧ください。
▼ZyMot(ザイモート)詳細
https://www.haramedical.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2023/06/ZyMot.pdf
▼ZyMot(ザイモート)明日から開始
・6月5日よりZyMot(ザイモート)の運用を開始します。
・費用は、保険先進医療:30,000円、先進医療助成金の対象です。自費:33,000円(税込)。
(注意)
申し込みは採卵日の2日前までです。採卵後の相談では間に合いません(精液を遠心分離せずに放置することはできないため)
また、ICSI(顕微授精)において、ZyMot(ザイモート)とPICSI(ピクシー)の両方を選択することもできます。これは、先進医療でも自費でも可能です。
Q:ZyMot(ザイモート)とPICSI(ピクシー)のどちらがおすすめですか?
A:その人の状況によりますが、ZyMot(ザイモート)は遠心分離をしないという大きなメリットがあるため、一般論としてはZyMot(ザイモート)をおすすめします。PICSI(ピクシー)は採卵後の培養士との相談で間に合いますので、その時に相談しましょう。
【2】膣坐薬ルティナス出荷停止をうけて
膣坐薬の国内流通が安定していることを5月21日にメール配信したばかりなのですが、残念なことに、また膣坐薬のルティナスが出荷停止になりました。原因は、製造過程での異物混入です。既に処方済みの薬剤や当院で保管している薬剤は、異物混入よりすっと前の製造ですので安全が確認されています。
ルティナスの出荷再開は3~6か月後の見込みです。それまでの間は、次の通りといたします。
・体外受精―胚移植周期の膣坐薬はこれまでより短い妊娠9週6日までとする(原則)。
・人工授精周期は、膣坐薬を使用せず、経口薬のみとする。
(2023年6月4日)