D配信#30:家族の会実施報告、絵本紹介、夫婦間の交流、学会報告、東京都へのAID助成金の要請、ドナー募集のWEB広告開始
今回は当院の取り組みについてお知らせいたします。治療に関する内容はございませんので、興味がある内容だけお読みください。
【1】第一回当事者家族の会を実施
【2】絵本「ねえ、しってる?」
【3】夫婦間の交流について
【4】学会発表の報告
【5】東京都の不妊治療助成事業へのAIDの追加要請
【6】ドナー募集のWEB広告を開始
【7】法整備の遅れに関して
【1】第一回当事者家族の会を実施
8月20日に開催しました第一回当事者家族の会は、参加者の笑顔に包まれた温かなものとなりました。参加者の真剣な眼差しと、絵本作成時の楽しそうな雰囲気から、お子さまへの深い愛情を感じました。来年以降もこの会を続けていきたいと思います。
▼本会のプレスリリースはこちら
https://www.atpress.ne.jp/news/365114
【2】絵本「ねえ、しってる?」
この絵本は、「作る過程」が大切なため、一般販売はいたしません。当事者家族の会に参加することで絵本を作成できます。会の中で、ご夫婦だけの『テリングとは』を見いだして、その言葉を絵本に綴ってほしいです。絵本にはお子さんの名前も入り、世界に一冊だけの特別なものとなります。
▼絵本「ねえ、知ってる?」紹介動画(2分)
【3】夫婦間の交流について
第一回当事者家族の会の申込みを開始してから、「告知について知りたいけど、他のご夫婦に会うのは躊躇する」という内容のご相談が複数ありました。そのような方々には、個別にカウンセラーによる告知支援をご案内しています。「心理カウンセリング(戸田)/70分3,850円税込」をお気軽にご利用ください。
一方、第一回当事者家族の会への参加者からは、夫婦間の交流の場を希望する声が多く聞かれました。この要望は、会の中で講演をしていただいたAID当事者支援会の寺山さんにも届いているそうで、今回、第一回当事者家族の会に参加した男性限定の交流会を企画して下さいました。この交流会には、テリングをしながら子育てをしている先輩パパが3名参加予定です。詳細は、対象となる方に別途メールでお知らせします。今後も、夫婦間の交流を希望する方々のためのプログラムはAID当事者支援会と協力して提供していく予定です。
【4】学会発表の報告
7月28日、仙台での受精着床学会にて、院長の宮崎先生が精子提供に関する講演を行いました。講演では、当院の子どもの福祉重視の医療と、IVF-Dは配偶者間体外受精に比べて成績が高いことを紹介しました。中でも、会場の反応が大きかったのは、「DSI(Donor Sperm Index)」です。これは、AIDでの妊娠にはIVF-Dの75倍のドナー精子が必要であるという当院のデータから得られた結果であり、ドナー精子の有効活用の重要性を訴えました。学会後、複数の医療機関から当院のAID・IVF-Dの枠組みに参加することはできるのかという連絡をいただきました。いずれの施設もAID認可を持っていないため新しい体制の構築が必要となりますが、まずは興味を持ってもらえたことが嬉しいです。
【5】東京都の不妊治療助成事業へのAIDの追加要請
6月21日、副院長の鴨下先生は都民ファーストの会と東京都社会福祉局に、AIDを東京都の不妊治療助成事業に組み込むよう要請しました。多くの無精子症は先天的原因によるもので、AIDは公的な治療にも関わらず、保険適用はなく、自治体の助成もほとんどない状況です。東京都が少子化対策や女性サポートに積極的に予算を割いていることを踏まえ、都でのAID助成の導入、そしてその取り組みの全国展開を提案しました。議論の中心は、AIDが匿名ドナーを使用するため、子の出自を知る権利の保障問題と公的資金の導入の是非でした。当院としては、国や学会の匿名ドナー方針や法的背景を患者自身が変えることはできないと説明しましたが、一方で都の資金導入の難しさも理解できる部分もありました。今後も、機会をつくり都の助成事業にAIDを追加する要請を続けていきたいと思います。
【6】ドナー募集のWEB広告を開始
前回のメールでお知らせした通り、現在ドナーは非匿名を希望する割合が高く、匿名ドナーが不足しています。そのため、10月よりAIDの料金を1万円引き上げることをお伝えしました。この料金の一部を、ドナー募集のためのWEB広告の資金として活用させていただきます。今後、対象年齢の男性が「精子提供」などのキーワードで検索される際、当院のドナー募集の広告が表示される場合がございます。ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。
(2023年8月27日)