不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。
お知らせ

D配信#47:eKYCのよくある質問、ガイドラインと同意書の改版、JISART無料セミナーのご案内、特定生殖補助医療法に関する当院請願を報告

【1】再:eKYCのよくある質問
【2】ガイドラインと同意書の改版
【3】JISART無料セミナーのご案内
【4】特定生殖補助医療法に関する当院請願を報告

【1】再:eKYCのよくある質問

4月1日のAIDとIVF-D胚移植よりeKYCがはじまります。eKYCメールは3月31日から開始します。どうぞ、「eKYCのよくある質問」をご夫婦それぞれにご一読いただき、夫婦で確認会話をしていただけますようお願いします。

↓eKYC よくある質問

eKYC よくある質問

【2】ガイドラインと同意書の改版

4月1日より、ガイドラインを改版します。変更する内容については、2023年10月1日改定後の変更を反映させたもので、これまでD配信でお伝えした通りです。新しい情報はありません。

↓精子提供による生殖補助医療のガイドライン
https://www.haramedical.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/12/guidelines_d.pdf

同意書も4月1日施行分より改版します。他の医療機関で排卵日(採卵日)特定を行い、同意書はご自身で用意している方は、HPの「通院中の方へ」のページから必要な同意書を印刷してください。『3月31日までの同意書』と、『4月1日以降の同意書』が混在しています。それぞれタイトルに有効日付を入れていますので十分ご注意ください。

【3】JISART無料セミナーのお知らせ

JISARTとは、不妊治療を専門とするクリニックによって結成された団体で、現在、全国で30施設が加盟しています。その中で、一部の医療機関は精子提供・卵子提供の体外受精を実施しています。

↓JISART会員施設における精子又は卵子の提供による体外受精実施施設一覧

JISART会員施設における精子又は卵子の提供による体外受精実施施設一覧

今回、JISARTは患者向けに初めて説明会を開催します。これまで、JISARTの活動は学会での発表に限られ、通院前の患者さんへの直接的な情報提供の場は少なかったです。この説明会は有用な情報を得られる機会になるかもしれませんので、直前で恐縮ですが皆さまに共有させていただきます。

説明会の日時と申込方法
日時:2024年3月30日(土) 14:00〜15:30
★当日の12時まで申込可能★
↓詳細はこちら

【卵子・精子提供】国内の不妊治療を牽引するJISARTが、卵子・精子提供に関する無料セミナーを開催!過去15年にわたり取り組んできた成果を議論の場へ

当院は2017年までJISARTの会員でした。しかし、当時のJISARTの規定は主に親族間の提供が前提のため、親族ではない第三者の精子ドナーを使用する当院の運用とは合致しませんでした。このため、当院はJISARTからの退会を決意し、独自のガイドラインにて第三者の精子ドナーによる体外受精の準備に着手しました。ガイドラインの策定と、それに伴う各所への協議には4年の歳月を要しました。現在、こうして当院が精子提供による体外受精を提供できているのは、この分野での先駆者であるJISARTの存在が大きいと感じています。

【4】特定生殖補助医療法に関する当院請願を報告

当院は、2022年8月から特定生殖補助医療法に関する請願活動を行ってきました。これは、第三者の精子や卵子提供を受けて生まれた子どもが、自分の出自に関する情報を知ることができる「出自を知る権利」を『保障する』ためです。当院は、出自を知る権利を保障する治療を既に提供しており、法律にもこの制度を取り入れてほしいと考え、国会議員への請願活動を開始しました。

活動の一環として、法案に関わるすべての国会議員に請願書を送り、代表議員と面会し、関連するシンポジウムで発表してきましたが、2回目に示されたたたき台においても「出自を知る権利」の『保障』には至りませんでした。そこで、子どもの福祉を守るために不可欠な二つの要求に焦点を絞りました。一つは、「親が精子提供者の周辺情報」を知ることができ、親から子どもに幼少期からこれを伝えることができること、もう一つは、ドナーの国籍を選択できるようにすることです。これらの改善を求め、2023年11月には署名活動を行い、多くの支持を集めました。

2024年2月15日、鴨下桂子副院長は、最後の請願として、議員連盟事務局長である伊藤孝恵議員へ直接請願を行いました。伊藤孝恵議員は、まっすぐに鴨下先生の目を見て、鴨下先生の言葉に真摯に耳を傾けてくださいました。以下は、鴨下先生の感想です。

―――鴨下先生の感想―――
伊藤孝恵議員は、この治療の歴史と問題点を十分に理解してくれているということ、また諸外国が『出自を知る権利を保障する法律をどのように成熟させてきたか』についても十分な知識をお持ちでした。この治療において、絶対に譲れない「子どもの福祉が最優先」という部分について、伊藤議員の考えは私と同様であったという安心感がありました。

一方で日本では、第三者による配偶子提供を取り巻く議論にコンセンサスがなく、議員立法(全党の賛成が必要)を成立させる困難さは想像以上でした。そのような中で、伊藤議員は慎重にかつ確実に一歩を踏み出す努力をして下さっていました。

伊藤議員は、「当院が信念を持って実施してきた精子提供の治療が出来なくなる、もしくは著しく改悪になることはしたくない」という意向を示して下さり、私はこの言葉を信じられる、信じたいと思いました。

今後も当院と当事者の皆様が共にできることは、「子どもが幼少期からドナー情報を知ることの価値を具体的に示すこと」です。当院はドナーの周辺情報を親となる皆様に提供し、親となる皆様は子どもにドナーがどのような人であるかを織り交ぜながら告知することができます。このプロセスを通じて、子どもにとってのドナー情報の重要性を示す実例を積み上げていくことが、法律のさらなる改善へと繋がります。本法律は、今後一歩一歩改善させていく法律であることから、私は伊藤議員を信じ、当院の信念ある精子提供の治療を粛々と継続していきたいと考えています。

はらメディカルクリニック
副院長 鴨下桂子
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法案たたき台については、現在も改良されている様子でした。詳しい内容については、国会に提出されるなど、公になる時を待ちたいと思います。法案提出の時期は、本国会(会期6月まで)を目指しているそうですが、秋の国会になる可能性もあるようです。

当院は、以上をもって特定生殖補助医療法に関する請願活動に一つの区切りをつけます。法律がどのような内容になっても、当院はその限りにおいて、これまで通り、子どもの福祉を最優先とした治療を提供していきたいと思います。

(2024年3月29日配信)

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