不妊治療の終結を一緒に考える会 第12回開催レポート (12月6日(水)開催分)
【開催日時】2017年12月6日(水)18:45~20:15
【ゲスト】
みちこさん(はらメディカルクリニック元患者様)
一般社団法人MoLive(モリーヴ) 永森咲希 様(不妊カウンセラー/家族相談士/キャリア・コンサルタント)
【ご参加頂いた方】
→ ご夫婦での参加・・・・・・・・・・・・12名(6組)
→ お一人での参加・・・・・・・・・・・・9名
====「体験記」をお話しいただいた”一般社団法人MoLiveの永森咲希さん”からのレポート====
年に2回開催される「不妊治療の終結を一緒に考える会」が、12月の街が華やぎ出す頃に開催されました。
はらメディカルクリニックの患者さんはもちろんですが、この会は、外部の医療機関で治療をされている方も参加可能です。
何事にも始まりがあれば終わりがありますが、不妊治療においての終わりは「妊娠」であって欲しいと誰もが願うはず。ですから、この「不妊治療の終結を一緒に考える会」は、どなたにとっても気が重く、足が向かない会なのだと思います。
にもかかわらず、参加する方は毎回十名~数十名いらっしゃいます。それだけ「終わりにすること」について考え、悩まれている方が多いということなのでしょう。今回のプログラムは下記の通りです。
はらメディカルクリニック 院長 原利夫先生からのメッセージ (総務部代弁)
体験談
<第1部>
みちこさん(はらメディカルクリニックで終結を経験した方)のお話し
永森咲希 「新しい日々のための最終章」の講演(自身の終結体験と今思うこと)
<第2部>
お話し会 (10名くらいで3グループにわけてそれぞれのグループで会話)
<原院長からのメッセージ>
まず冒頭に、この終結の会の開催を続けてこられた原院長の思いがこめられたメッセージを皆さんに聞いていただきました。今の医療技術の進化に伴う患者さんの苦痛も、高齢でも治療できるからこそ「治療を終わりにする」決断がいかに残酷なことかも、またそのためにどれだけの苦悩があるかも、一番わかっているのはご自分だという自負を持たれてのメッセージは、しっかりと皆さんに届いたようです。
原院長がこの会を主催する目的は、当事者の皆さんが「今のご自身のありのままを受け入れることができるように」すること。それには皆さんに、考えていただくのではなく、感じていただく時間を提供したいと思われたのが原点だそうです。「ご自身を信じ受容できればそこには必ず答えがある」とおっしゃる原院長ご自身が、患者さんおひとりおひとりの将来を信じておられるからこそのメッセージだと感じました。
<体験談発表>
原院長からのメッセージに続き、終結を経験した2名の体験談をお聴きいただきました。
■みちこさん
まずは、みちこさんから。はらメディカルクリニックに患者として9年間通ったみちこさんが、あきらめた当時どんな思いでいらしたか、そしてあきらめた人生を生きる今はどんな気持ちでいらっしゃるか、優しい言葉でシンプルにお話しなさいました。長年通院していた場所に、今こうして立たれている感覚についても。とても貴重なお話しです。同じ目線で語りかけられるこうしたお話しは、純粋且つ具体的に皆さんの参考になったようです。
(いただいた感想)
自分と重なるところがあり、考えるきっかけになりました。
シンプルでしたが、ご自身の気持ちをお話し頂き、その話をお聞きすることができ、感謝します。とても大切な体験談でした。
治療をやめた理由を伺えて参考になりました。ありがとうございました。
終結後の気持ちなど分かり参考になりました。
・・・・・ etc.
■永森咲希
次に私、永森咲希より「新しい日々のための最終章」についてお話しさせていただきました。私がどういう過程を踏んで治療を終わりにし、子どもをあきらめたか。どんな思いで当時を過ごしたか。あきらめた後の人生を歩むにあたり感じてきたこと、わかったこと等、「今思うこと」についてお話しさせていただきました。
(いただいた感想)
貴重なお話を伺えてよかったと思います。共感できることが多くて少し心が軽くなりました。
身につまるお話でした。全てが参考になるものではないとしても、考え方のひとつを紹介して頂いたと受け止めております。またお話を伺える機会があれば嬉しいです。
上手に終結していく方法がわかりました。
今まで考えてこなかった事、考えるきっかけになりました。
自分の事も大切にしたいと思いました。
・・・・・ etc.
<お話し会>
8名~10名ほどの人数でグループをつくり、輪になって、お約束事としてのルールのもと、自由にお話しいただきました。
(各グループに進行役のファシリテーターがつきます)
今の状況、感じていること、悩んでいること、、、etc. ご自分(たち)のことをお話しされる方もいらっしゃれば、「こういう時、皆さんはどんな風にしていらっしゃいますか」と、グループの方にお聞きになる方もいらっしゃいます。
ご夫婦で参加される方も増えてきて、数組は必ずいらっしゃるようになりました。ご夫婦同士で参加された場合、夫と妻とで別々のグループに入るのもよし、同じグループに入るのもよし。それぞれにメリットがあります。別々のグループに入った場合は、普段パートナーにはなかなか聞けないこと、言えないことについて、他の方々に聞いてみたり、助言をもらうことができたりといったメリットがあります。またご一緒のグループに入った場合は、パートナーの発言を聞いて(また涙を見て)、「こんな風に思ってたのか・・・」とグループという場を通して新たな一面を知るというメリットもあり、どちらにしても、日常とは異なり、良いエッセンスのある空間になります。
最近は、男性の不妊治療に対する意識も高くなり、治療に対する知識や、いかにパートナーとこの難局を乗り越えたらいいか等、問題意識の高い方も見受けられるようにもなりました。ご夫婦の人数によって、ご夫婦同士のグループをつくることもありますが、「うちの場合は・・・」「お宅は・・・」と、会話が弾むことも多くなってきたように感じます。最初は緊張されていても、「同じ経験者同士、この場だからこそ共有できる」という特殊な親密感が生じる場ですので、すぐに打ち解けられ、時間が足りないとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
毎回「参加してとてもよかった」「ぜひまた参加したい」といった感想をお寄せいただくこの場を今後も大事にしていきたいと、スタッフ一同気持ちを新たにした次第です。
次回は2018年6月です。