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タイムラプスエンブリオモニタリングシステム Embryoscope+の導入とKIDScore【培養部より】

こんにちは、培養部です。

暑い日が続いておりますが、皆さま体調はいかがですか。連日テレビでも報道されておりますが、日中は日陰や家の中でも熱中症になる可能性がありますので、室温の調節や、充分に水分を取る等、お気を付けてお過ごしください。
この熱中症のように、ヒトは大人であっても周りの気候によっては体調に影響を受けることがあります。そして、それは私どもがお預かりしている卵子、胚も同様です。通常、胚は培養器(インキュベーター)の中で育てられています。インキュベーター内は、温度が37.0℃、気層が酸素5%、二酸化炭素6%、窒素89%で構成されており、光が全く入りません。この環境が胚を育てるためには最適と考えられています。一方で、胚の発育具合を確認するためには要所要所で胚の観察をする必要があります。そして、そのためにはインキュベーターから胚を出さなくてはなりません。すると、胚はわずかな時間ですが異なる環境に曝されることになります。これは胚にとってストレスとなっていると考えられます。
上記のような、胚を観察しなければならないが、胚にとってはそれがストレスになるというジレンマを解決してくれるのが、タイムラプスエンブリオモニタリングシステムです。このタイムラプスのシステムは、インキュベーターの中に入れたまま胚の観察ができるというもので、観察の度に胚をインキュベーターから出す必要がありません。そのため、上記のようなストレスを軽減し、よりよい環境での胚培養を可能とします。また、10分ごとに自動で胚を撮影し、動画として再生しますので、あとからいつでも確認ができ成長の過程を追うことが出来ます。

さて、こちらのタイムラプスシステムですが、当院では以前から導入しており、お申し込みのあった方に使用させて頂いておりました。新型機種導入の為一時受け入れを停止していましたが、この度最新型のタイムラプスエンブリオモニタリングシステム Embryoscope+を導入致しました。
新型機種では同時に受け入れられる人数や、培養できる胚の数の増加、胚の発育をより良くするための培養皿の形状の変化など、いくつか挙げられます。そして今回特に大きな変化としまして、KIDScoreというものがあります。KIDScoreとは、タイムラプスを使用することで得られたデータ(分割の正常性や分割時間等)を基に、コンピューターが胚の評価を行うものです。KIDScoreの数値の高い胚程、より妊娠しやすい胚と考えられています。当院では胚盤胞の状態をGardnerの分類を基に当院独自の方法でランク付けしていますが、それが同ランクの際にはこちらのKIDScoreの高い胚を優先胚とさせて頂きます。これにより、より精度の高い胚選別が可能となると考えられます。
現在培養部では、このEmbryoscope+を皆様に提供させて頂くため、さらなる準備を進めております。本格的な運用開始まで少し時間がかかりますので、今しばらくお待ちください。運用開始の際は、メール配信にてお知らせいたします。

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