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スタッフコラム・ブログ

体外受精における受精方法①

こんにちは培養部です。
東京では桜が満開になりましたね。当院近くにある新宿御苑の桜が外からでも少し見えるのですがすごくきれいです。お時間ある際には通ってみてください。ただ私は桜餅を食べる方が楽しみです。特にあの桜の葉の塩漬けがとても好きです(笑)

さて、今回から数回にわたり体外受精における受精方法についてメリット・デメリットを踏まえてご紹介させていただきます。

採卵後まず決定しなければならないものが受精方法です。
ただ受精方法といってもその選択肢は多数あり迷ってしまうこともあると思います。
1つ1つご紹介する前に、まず受精方法にはどんな種類があるのかを見ていきましょう。

* コンベンショナルIVF(体外受精)
* 顕微授精(ICSI
    Piezo-ICSI
    レスキューICSI
    スプリットICSI

こちらが現在当院で実施している受精方法です。
多く感じられると思いますが、これらの受精方法を大きく分けると「コンベンショナルIVF(体外受精)」「顕微授精(ICSI)」の2種類になります。下の3つ「Piezo-ICSI」「レスキューICSI」「スプリットICSI」は上の2つを応用した方法となるためです。

では1つ1つご紹介していこうと思いますが、今回はまず第一弾としてコンベンショナルIVF(体外受精)についてご紹介いたします。
コンベンショナルIVFは一般的に体外受精と言われている方法です。下の図のようなシャ-レと言われるお皿の中央に卵子を置き、その周りに精子を泳がせ、受精させます。

精子の力に任せて受精を行うため、より自然に近い受精方法となります。

基本的に当院では、調整後の運動精子濃度が2000万/ml以上あればコンベンショナルIVF、これに満たない場合は顕微授精が推奨されますが、その他精子奇形率や運動率、卵子の状態、過去の治療歴、ご要望内容などを踏まえて患者様と一緒に受精方法を決定していきます。

~コンベンショナルIVF(体外受精)のメリット・デメリットについて~

 メリット

・精子自身の力で受精が起こるため、より自然に近い受精
卵子に対して最もストレスが少ない受精方法となります。そのため顕微授精と比べて胚盤胞到達率が高い傾向にあります。
・他の受精方法と比べて1番安価である

 デメリット

・受精障害の可能性
卵子と精子どちらか片方でも受精障害があった場合受精率の低下がみられます。
※受精障害について過去にコラムでご紹介していますので興味のある方は次のURLからアクセスしてみてください→https://www.haramedical.or.jp/column/staff/000242.html
・形態的な精子の選別が不可
コンベンショナルIVFでは精子を濃度が一定量になるように卵子の周りに泳がせ、精子自身の力に任せて受精させます。受精操作に使用する精子は調整を行いより運動能の良い精子を集め使用しますが、その中には運動能が良好でも形態的に異常な精子なども含まれてしまいます。そのため、どの精子が卵子に侵入するかは判別不可能となります。
基本的に、形態的な何らかの異常を持った精子は受精しないとされているため、そのよう精子が受精する可能性としては低いと考えられますがゼロとは言い切れません。
・多精子受精が起こる可能性
本来卵子1つに精子1つが侵入し受精となりますが、稀に1つの卵子に2つ以上の精子が侵入してしまうことがあります。これを多精子受精と言います。多精子受精が起こってしまった卵子は核の数が異常となり、その後着床に至ったとしても胞状奇胎の原因になるとも言われているため、その時点で培養中止となります。

コンベンショナルIVFの最大のメリット、「胚盤胞到達率の高さ」は全受精方法で一番魅力的なメリットです。そのためコンベンショナルIVFは第一の選択肢となりますが、何らかの原因でコンベンショナルIVFでは受精が難しい方もいらっしゃいます。まずは受精をさせることを考えなければなりません。次回のシリーズ第2弾では顕微授精(ICSI)についてご紹介いたしますので少しの間お待ちください。

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