第16回日本IVF学会に参加しました
こんにちは。今回のコラムは培養部が担当させて頂きます。
さて横浜にて第16回日本IVF学会が開催されました。培養士2名と院長の3名が参加してまいりました。
今回の学会では、加齢に伴う妊娠力の低下を中心に、活性酸素の卵子への影響、将来の不妊治療に役立つような基礎研究のトピックスなどバラエティーに富んだ内容でした。
なかでもメラトニンの抗酸化能力に関する発表は大変興味深いものでしたので、少しだけお話させていただきます。
メラトニンは脳内の松果体とよばれる場所から分泌されるホルモンです。睡眠ホルモンとも呼ばれています。体内の睡眠と覚醒のリズムを作り出す働きを持っており、目から入る光によって分泌量が調節されています。その分泌量は幼児期をピークに年齢とともに低下していきます。
このホルモンの面白いところはこのホルモン自体に優れた活性酸素除去能力があるという事です。メラトニンは抗酸化物質として有名なビタミンEと比べると2~3倍の活性酸素除去能力があります。卵子が育つ卵胞の中にはこのメラトニンが他の組織の数倍の量含まれており、その優れた抗酸化能力を用いて卵子や卵胞中の細胞を酸化ストレスから保護していると考えられているという報告がありました。
さてメラトニンの量を増やすには、どうすればよいのでしょうか?サプリメントなどで直接摂取する方法もありますが、自然にメラトニン量を増加させるのがベストだと思います。具体的な方法として、朝起きたら太陽光を浴びる、就寝前の数時間は部屋の照明を暗くし、パソコン、スマートフォン、テレビなどを控えると良いと言われています。またメラトニンの原料となるトリプトファンを含む赤身の魚や赤身の肉、大豆製品、乳製品などの食材を摂取しても分泌量が増えると言われています。
卵子を活性酸素から守り、受精能力を高める可能性のあるメラトニンに今後注目が集まっていくと考えられます。