スタッフコラム・ブログ
ICSI後の受精障害の治療【培養部より】
ICSI後の受精障害を惹起する精子側の原因のひとつに、卵活性化因子障害があります。
精子は受精後に卵子を活性化させる能力を有しているのですがこの因子に障害があると卵子の分裂が始まりません。
この活性化因子のない精子でICSIを行った場合には、人工的に卵子を活性化させる方法がいくつか研究発表されています。
当院で行っているのは、[カルシウムイオノフォア処理法]です。これは、強制的に細胞外のカルシウムイオンを細胞内へ拡散させることにより卵の活性化を起こさせるものです。
当院での症例数はまだ少ないため統計的に効果を発表することは出来ませんが、受精障害治療のひとつとして例数を重ねてゆきたいと考えています。
現在、受精障害は一般的には卵子の質に原因があるとされていますが、最近では授精障害の原因は精子側にあり、治療方法も多数発表されています。ひとつひとつの報告研究を吟味し臨床にフィードバックしてゆきます。