こんにちは。 今回のブログは培養部が担当させていただきます。 培養部は採卵後の説明、培養士相談で皆様と直接お話しをさせていただく機会があります。その中で、精子は新鮮なものと凍結したもの、どちらがよいか、と皆様からよくご質問をいただきます。 答えは、新鮮な方が良いです。 理由は2つあります。
① 凍結保存精子を解凍すると、必ず運動率は低下します。 凍結、解凍という一連の作業は精子にストレスがかかります。そのストレスに耐えられなかった場合、どのくらい下がるかは個人差があるので数字でお伝えすることはできませんが、精子の動きがとても弱くなったり、全部死んでしまう場合もあります。
② 精子を凍結すると、精子のDNAの断片化が進みます。 断片化、という言葉がわかりにくいかもしれませんが、DNAが壊れてしまう、ということです。 DNAの壊れた精子でも受精が起こります。しかし、その後の胚発育に影響してきます。 グレードが悪い胚になったり、発育が途中で停止してしまったりと胚にとって悪影響を及ぼします。 先日の学会でもこの精子の断片化についての発表がいくつかあり、最近の注目すべき話題となっています。 ご主人様のお仕事の都合で、当日の採精が困難な方もいらっしゃると思います。その時のために、ストック分として精子を凍結しておくことはとても有用です。
しかし、当日に採精が可能であれば、新鮮な精子を用いる事が妊娠への近道です。 院内採精か持参のどちらが良いかについては、2010年11月12日のブログで詳しくお話しさせていただいております。ぜひご一読下さい。