顕微授精後の受精障害と卵子活性化処理法について
こんにちは。培養部です。
すっかり季節は秋めいてきており、朝晩がだいぶ冷え込むようになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は顕微授精後の受精障害と卵子活性化処理法についてお話しさせていただきます。
受精障害とは成熟した卵子に対し、体外受精や顕微授精を行っても受精しなかった場合をいうのですが、一言に受精障害といっても卵子側と精子側のその両方に様々な要因が考えられます。その中で顕微授精後の受精障害を惹起する精子側の原因のひとつとして卵子活性化因子障害というものがあります。
受精の際には、精子からのシグナルが卵子の細胞質に伝達され、卵細胞質内の小胞体という細胞小器官からカルシウムイオンが放出されることで卵子が活性化し、受精のプロセスが進行するのですが、精子の活性化因子が欠損しているために、顕微授精において受精しなかった、あるいは受精率が極端に低いといった受精障害が疑われた場合、顕微授精後に人為的に卵子を活性化することで受精率の改善を図るという方法があります。
この卵子活性化処理法には様々な方法があるのですが、当院ではカルシウムイオノフォア処理法というものを行っております。これは、顕微授精を行った卵をカウシウムイオノフォアという薬剤で処理し、強制的に細胞外のカルシウムイオンを細胞内へと拡散させることにより卵子の活性化を促す方法です。ただし、この卵子活性化処理法は未成熟卵を成熟卵にする方法ではございませんのでご注意ください。
当院での適用は
・過去に培養士相談にて受精障害を指摘された方
・顕微授精をしても受精しなかった方で、卵子は成熟卵であった方
・他院にて顕微授精の経験があり受精障害を指摘されたもしくは顕微授精後に受精卵が
獲得できなかった方
で、費用は30,000円(税別)となっております。
申込書は受付横のパンフレットラックもしくは当院のHPからもダウンロード可能です。
希望される方は申込書をご記入の上、採卵周期3日目以降5日目までに受付へとご提出ください。