先日、あるお寺のお坊さんが主催した「死の体験旅行」というワークショップに参加してきました。
ちょっと怪しい響きですが、このワークショップは、アメリカのホスピス(がんなどの終末期医療専門の病院です)で、亡くなっていく患者さんの気持ちを少しでも理解しようと始まったものだそうです。
参加者は、お坊さんの指示に従って、自分にとって大切なものを小さな紙にひとつひとつ書き出して行きます。
そして、お坊さんが話す「自分が病にかかり、病が進行し、やがて命を終えていく」物語を聞きながら、大切なものの書かれた紙を一つずつ捨てて行きます。
私は、物語を聞きながら、大切なものを失っていく怖さを感じました。そして、物語が進み、全てのものを失い、命を終えた時には、逆に少しホッとした気持ちになりました。
ワークショップ終了後には、失った大切なものを見直しながら、自分の周りには「大切なもの」が溢れているなぁと感じました。
毎日の生活の中で「大切なもの」を意識するのは難しいかもしれませんが、皆さんの周りにも「大切な」ものや人、故郷の風景、趣味などがたくさんあるのではないかと思います。ハードなワークショップだったので、ワークショップ自体をお勧めしてよいものかちょっと迷いますが、仕事に家事に(そしてもしかしたら治療に)忙しい日々の中で、ちょっと手を休めて、自分の周りにある「大切なもの」に思いを馳せたり、「大切な人」に感謝を伝えてみるのもよいものかもしれません。