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体外受精における受精方法②【培養部より】

こんにちは培養部です。

とうとう梅雨が明けましたね!カラッとした空気と太陽がとても気持ちよくキャンプや海に行きたいと思うこの頃です。ただやはり暑さは大敵なので皆様もどうかお身体にはお気を付けください。

お待たせいたしました!今回は体外受精における受精方法についてご紹介するシリーズ第2弾をお送りいたします。
※前回の第1弾のコラムをご覧になる場合は ☞こちら

 コンベンショナルIVF(体外受精)
 顕微授精(ICSI)
    Piezo-ICSI
    レスキューICSI
    スプリットICSI

今回は2つ目の顕微授精(ICSI)についてご紹介いたします。

顕微授精(ICSI)の正式名称は卵細胞質内精子注入法と言い、培養士が形態・運動性の良好な精子を選択し、顕微鏡下で確認しながらその精子を細いガラス針で卵子の細胞質内に直接注入する方法です。

当院では調整後精子の運動精子濃度が2000/mlを下回る方は顕微授精が推奨となります。また、受精障害が予測される場合や精子正常形態率が低い場合、TESE精子などコンベンショナルIVFでは受精が難しい場合は顕微授精が適応となります。ほかにもコンベンショナルIVFだと多精子受精が起こりやすい方など様々な理由から顕微授精をご選択される方もいますので、卵子の状態や過去の治療歴、ご要望内容などを踏まえて患者様と一緒に受精方法を決定していきます。

~顕微授精(ICSI)のメリット・デメリットについて~

 メリット

・精子所見不良でも受精が可能
顕微授精では卵子1つに対して精子が1つでもいれば受精可能です。
・形態的な精子の選別が可能
倒立顕微鏡下で精子1つ1つを確認しながら形態・運動性の良い精子を選別していきます。
・確実性の高い受精
顕微授精は培養士が顕微鏡下で確認しながら卵細胞質内に1つの精子を確実に注入します。そのため顕微授精の受精率は、コンベンショナルIVFと比べて高い傾向があります。
コンベンショナルIVFで多精子受精が出やすい場合や、卵子への精子侵入が起きにくいなどの場合には顕微授精が有効な方法になる可能性があります。

 

 デメリット

・針を刺すことによる卵子へのストレス
精子を注入するために卵子にとってはかなり太い針を刺さなければなりません。また卵細胞質膜を破る際には、吸引圧をかけて破り細胞質内に侵入するため、卵子には大きなストレスがかかってしまいます。卵子がもともと弱い場合には、そのストレスにより卵子が変性してしまう可能性があります。
また、顕微授精の受精率は高いですが、その後の発育や胚盤胞到達率、良好胚獲得率などは、コンベンショナルIVFよりも低い傾向があります。

ただ、体外受精の胚培養は卵子が受精しなければ何も始まりません。まずは受精という壁を乗り越えるためにも、受精状況が思わしくない場合は試してみる価値のある方法と言えると思います。

次回の第3弾はPiezo ICSIについてです。顕微授精のデメリットを解消するために開発された新しい技術についてご紹介します!

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