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スタッフコラム・ブログ

体外受精における受精方法③【培養部より】

はらメディカルクリニック培養部です。

肌寒い日が続いていますね、皆様いかがおすごしでしょうか。私は最近ゆず茶・みかん茶をよく飲みます。体が温まるのとビタミンも捕れるのでお勧めです。ですが糖分もたくさん入っているので私みたいに飲みすぎるのは注意です☆たまにの息抜きによかったらお試しください。

それはさておき、今回は「体外受精における受精方法」についてご紹介するシリーズ第3弾です。

※過去コラムは以下よりご覧ください。
シリーズ1 「コンベンショナルIVF」は ☞こちら
シリーズ2 「顕微授精(ICSI)」は ☞こちら

今回はPiezo-ICSIについてご紹介いたします。

Piezo-ICSIは顕微授精(ICSI)と同じく細いガラス針をもちいて、1つの卵子に1つの精子を注入する方法です。
従来のICSIではその細いガラス針を穿刺することで卵に大きなストレスがかかってしまうことが最大のデメリットでした。
そこで研究された、穿刺時のダメージを減少させることを可能にした新しい顕微授精がPiezo-ICSIです。

従来のICSIとPiezo-ICSIでは、使用する針と注入する際のアプローチ方法が異なります。
従来のICSIの針は写真①のように先端がとがったガラス針を使用します。卵子に針の切っ先を押し当てて透明帯を貫通させ、さらに卵細胞に押し込みます。この状態で陰圧をかけて細胞質ごと吸引することで細胞膜を穿破し、精子を注入していました。

一方、Piezo-ICSIでは写真②のような先端が平らなガラス針を使用します。従来の鋭い切っ先を使用する代わりに目には見えない微細な振動(ピエゾパルス)を用いて卵子の形を変形させることなく透明帯に穴を開け、さらに卵細胞質を吸引せずパルスで破り、精子を注入します(PMM法)。そのため従来の方法よりも卵にかかるストレスを小さく抑え、実施できるようになりました。

~Piezo-ICSIのメリット・デメリットについて~

メリット

Piezo-ICSIは卵にかかるストレスが小さいため以下の方に特に有効性があります。
・ICSI後の変性率が高い方
・ICSI実施後の受精率が低かった方
・ICSI後の胚発育成績が良くなかった方
・原因不明、顕微授精に失敗した方

 

デメリット

・通常のICSIよりも代金が高くなる
当院では通常のICSI代金にPiezo費用として¥29,700追加でかかります。

 


今回はPiezo-ICSIについてご紹介しました。当院でも2年前くらいから新しく導入された技術ですが、導入から今日まで多くの患者様にご選択いただき成績からもしっかりと有効性が示しされています。IVFではなくICSIをご選択される場合にはPiezo-ICSIもぜひご検討ください。

他にも気になることがありましたら採卵後説明時の培養士にお尋ねください。
では次回はこのシリーズも4回目になり、内容はレスキューICSIです。
また少しの間お待ちくださいね。

 

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