妊娠を希望する女性にとって卵子凍結は、自分らしいライフキャリアをデザインするうえで選択の一つです。東京都の卵子凍結助成説明会には約
3ヵ月の間に
7000人以上の応募があったことがニュースになりました。東京都の当初の予想の
5倍以上だそうです。本記事では、東京都の卵子凍結の助成金制度を中心に、卵子凍結の概要や当院が実施している説明会などの情報を詳しく解説します。
卵子凍結とは「将来の妊娠に備えた保存方法」
卵子凍結とは、卵巣から採取した卵子を凍結し保存しておくことです。おもに、悪性腫瘍などの抗がん剤治療による卵巣機能の低下に備える「医学的適応」と、加齢などによる生殖能力の衰えに備える「社会的適応」の2つのケースで行なわれます。
将来の妊娠のために卵子を保存しておくことから、卵子凍結は未婚の女性が行なう場合が多いです。ここでは、卵子凍結のメリット・デメリットや費用など、これから卵子凍結を検討する方へ向けた情報をまとめていきます。
また、卵子凍結の詳細は以下のページで解説していますので、より詳しく知りたい方はリンク先のページをご覧ください。
卵子凍結のメリット
卵子凍結のメリットに挙げられるのは、妊娠の可能性を将来にとっておけることです。
女性は加齢に応じて妊娠率が低下し、流産率は上昇します。
これは、加齢によって自然に卵子に染色体異常(遺伝情報の異常)が生じることで、卵子の細胞分裂の失敗が起こりやすくなるためです。また、女性は卵子をもって生まれ、新しく作られることはないため、加齢により卵子の数は減少していきます。年齢を重ねてから妊活をはじめると、その時の卵子はすでに染色体異常をもっている可能性が高く妊娠・出産が難しい状態かもしれません。
または、卵巣に残っている卵子の数が少なくなっていると、不妊治療で薬を使っても卵巣の反応が鈍く卵子の発育が乏しいことがあります。
そこで、若いうちに卵子をとり凍結保存しておけば、年齢を重ねてから妊娠を希望する場合に、加齢による影響を受けていない妊孕性(妊娠する力)を保ったままの卵子を体外受精に使うことができます。この医療技術が卵子凍結です。
また、卵子凍結のメリットを最大限に活かすためには、加齢による影響を受けていない若い時期の卵子を凍結保存することが重要です。そのため、はらメディカルクリニックでは卵子凍結の目的が将来の妊娠であれば卵子の質の低下が少ない20代~34歳のうちに凍結することを推奨しています。
ただし卵子凍結の必要性は本当に人それぞれです。将来必ず妊娠出産したいと思っている女性だけではありません。自分の
QOL(
Quality of life:生活の質)を上げるために、今出来る方法として卵子凍結をしたいと考える女性が実はとても多いと感じています。そのような場合には、卵子凍結のデメリットを十分に理解してもらった上で、
44歳まで卵子凍結することを可能としています。凍結卵子の最長保存期間は、本人が50歳の誕生日を迎える前日までです。
はらメディカルクリニックの卵子凍結と年齢の詳細については、下記のリンク先をご覧ください。
卵子凍結のデメリット
卵子凍結のデメリットは、卵子凍結をしても、将来の妊娠・出産できる保証はないという点が最も大きいです。
よく、卵子凍結は将来への保険という言葉を耳にします。例えば、卵子凍結をしたけれども、結婚して、自然妊娠や保険でできる不妊治療をして赤ちゃんを授かり、凍結した卵子は使わなかったというケースがあります。このケースでは卵子凍結は保険という意味合いになると思います。しかし、もし、凍結しておいた卵子を使って体外受精をしても妊娠・出産できなければどうでしょうか。それは保険にはならなかったということです。
なぜ、卵子凍結をしても、将来の妊娠・出産ができないことがあるのか、また、卵子凍結のデメリットには、他に排卵誘発などの医療行為による副作用もあります。これらについては、当院の卵子凍結説明会にて動画やイラストなどを用いながらわかりやすくお話しています。
卵子凍結説明会について詳しくは下記を参照ください。
そもそも、不妊治療は、医療の中では成功率が高くはない分野です。妊娠・出産は、原因を直接治療できないことの方が多く、先に説明した通り、加齢による卵子の質の低下にも治療方法はありません。また、結果の個人差が大きい分野でもあります。それも踏まえた上で、あなたにとって卵子凍結をする必要性があるのかどうか、考えていきましょう。
当院での卵子凍結の費用
はらメディカルクリックで卵子を
10個とると、かかる費用は以下の通りです。
初診 |
初診セット検査 |
32,361円 |
術前検査 |
2,222円 |
初診 |
2,880円 |
超音波 |
2,200円 |
採卵 |
高刺激 |
60,000円 |
ホルモン検査(2日分) |
12,100円 |
診察・超音波(2日分) |
6,000円 |
デュアルトリガー |
20,330円 |
採卵6個~10個 |
202,400円 |
卵子凍結10個3年間 |
110,000円 |
〇卵子10個 3年間凍結保存の場合の合計:450,493円
そして、卵子の凍結期間が4年目以降になると、凍結の更新費用がかかります。凍結更新費用は、卵子
1個あたり3年間で
11,000円です。もし、卵子凍結
10個を更新すると、
3年間ごとに
110,000円の費用が追加でかかります。
卵子凍結は保険が適応されず、自由診療になるため高額です。そのため、最近は日本でも福利厚生として従業員の卵子凍結に助成をだす企業が少しずつ増えてきました。また、東京都は卵子凍結への助成事業を開始し、大きな話題になっています。
続いては、東京都の卵子凍結の助成金についてご説明します。はらメディカルクリニックは、東京都の「卵子凍結に係る費用への助成」の登録医療機関です。
東京都の助成金「卵子凍結に係る費用の助成」について
卵子凍結の助成金の代表例として、東京都が実施している助成金制度について確認していきましょう。東京都の「卵子凍結に係る費用への助成」は、2023年9月25日に説明会のエントリー受付が開始され、条件によって最大で30万円の助成が受けられる制度です。対象者や適用治療、助成額などの詳細については、以下で詳しく解説します。
対象者
「卵子凍結に係る費用の助成」の対象となるのは、東京都に住む18歳から39歳までの女性です。この年齢は採卵を実施した日の年齢となります。
さらに、以下の6つの要件のすべてに該当する必要があります。
- 都が開催する、卵子凍結の正しい知識を持っていただくための説明会へ参加すること
- 説明会への参加を申し込んだ日から都に助成金を申請する日までの間、継続して都内に住民登録をしていること
- 説明会に参加した後、都が指定する登録医療機関において採卵準備のための投薬を開始すること
- 未受精卵子の採卵又は凍結後に都が実施する調査に協力すること
- 凍結卵子の売買、譲渡その他第三者への提供はいかなる場合も行わないこと、また、海外への移送は行わないこと
- 卵子凍結後も都の実施する調査に対し、継続的に(最大5年間)回答すること
引用:
東京都福祉局
また、以下の2つの要件に当てはまる方は対象外となるため注意しましょう。
- すでに不妊症の診断を受けており、不妊治療を目的とした採卵・卵子凍結を行う方
- 東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業(小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業)の対象となる方
引用:
東京都福祉局
適用治療
「卵子凍結に係る費用の助成」の適用となる治療は、採卵準備のための投薬、採卵、卵子凍結となります。卵子凍結では、初診・検査
→採卵
→卵子保存の順で行なうのが一般的です。初診料や初診時に行う検査は助成対象外となりますが、採卵をする周期の投薬から採卵、凍結までが助成されるので、自己負担額はかなり軽減されるでしょう。
助成金額
「卵子凍結に係る費用の助成」の助成金額は、以下の2つのパターンに分けられます。
- 卵子凍結に関わる助成
卵子凍結を実施した年度の上限20万円+次年度以降、保管更新時の調査に回答した際に、1年ごと一律2万円(最大5年間)=30万円
- 凍結した卵子を使用する助成
凍結した卵子の使用は最大25万円×女性が39歳までは6回、40歳~42歳は3回助成
引用:
東京都福祉局
東京都の卵子凍結に係る費用の助成は、「卵子を凍結するとき」と「凍結した卵子を使うとき」の両方に助成金を支給します。
東京都による卵子凍結の助成金を受給する方法
「卵子凍結に係る費用の助成」の助成金を受けるためには、以下の手順で進めなければいけません。
- 東京都の説明会へ申し込み、参加
- 調査協力申請
- 決定通知書受領
- 登録医療機関を受診
- 卵子凍結実施
- 助成金申請
- 調査への回答
- 助成金受給
例えば、東京都の説明会へ参加せずに卵子凍結を実施したり、登録医療機関以外の医療機関で卵子凍結を実施した場合は、助成金の対象外となってしまいます。「卵子凍結に係る費用の助成」を受けたい場合は、まず東京都が開催している説明会への申し込み・参加することから始めましょう。
また、「卵子凍結に係る費用の助成」に関する詳細は、下記のリンク先で詳しく解説されています。リンク先から説明会への参加申し込みが可能なため、ぜひ一度ご覧ください。
助成金以外の不安にも当院の卵子凍結説明会がおすすめ
東京都の助成金制度を活用するためには、都が開催する説明会への参加が必要ですが、卵子凍結するかどうかを判断するには、不十分な情報量です。そこでおすすめしたいのが、当院で行なっている卵子凍結説明会です。
この説明会では、卵子凍結の方法やメリット・デメリットから、通院スケジュールや費用などの具体的な内容まで、27のトピックに分けて卵子凍結について説明します。卵子凍結の必要性を真剣に考えたい方は、自分の血液検査の結果によって、
1回の採卵でとれる卵子の数や、何個くらい卵子をとればいいのか、かかる費用の合計はいくらなのかをシミュレーションすることができます。
また、卵子凍結説明会への参加は事前申し込みが必要ですが、どなたでも無料で参加できます。Zoomを使ったオンラインでの開催なので、全国どこからでも参加可能です。
卵子凍結説明会について詳しくは下記を参照ください。
まとめ
卵子凍結は、妊娠率の高い頃の卵子を凍結保存しておくことで、将来の妊娠の確率を高める治療です。妊娠可能な年齢は限られているため、今はまだ妊娠を希望していないけど将来的には妊娠し子どもを持ちたいという女性にとっては、一つの選択肢になる治療といえます。
また、自治体によっては、卵子凍結をする女性を対象とした助成金制度が設けられており、卵子凍結の経済的な負担を抑えることも可能です。卵子凍結は人生の中で妊娠出産の選択肢を少し先延ばしにできる治療であるとともに、将来の妊娠を約束するものではないという不確実性の高い治療です。この機会に卵子凍結がご自身にとって必要かどうかについて考えてみてはいかかでしょうか。
はらメディカルクリックでは、卵子凍結の治療内容や初診時の疑問などに関するお問い合わせフォームを設置しています。下記のリンク先からお気軽にお問い合わせください。
卵子凍結説明会の説明会の詳細や参加申し込みは下記のリンク先から行なえます。リンク先からは、体外受精などほかの説明会の詳細や参加申し込みも行なえますので、気になる説明会・相談会がありましたら、ぜひご参加ください。