卵子凍結とは?
不妊症の検査・治療
卵子凍結とは
「卵子凍結(未受精卵凍結)」とは受精前の卵子を凍結することです。受精後に凍結する「受精卵凍結」と混同されてしまうことがありますので、「卵子凍結(未受精卵凍結)」と「受精卵凍結」の2つをご紹介します。
卵子凍結とは
卵巣から採取した卵子を将来の妊娠に備えて凍結保存することを卵子凍結と言います。卵子はまだ精子と受精させる前の段階なので未受精卵とも言います。多くは未婚の女性が対象となります。
悪性腫瘍などに罹患したが方がその治療を行うことにより卵巣機能が低下する可能性がある場合に妊孕性を温存するために凍結する「医学的適応」によるものと、健康な状態でありながら加齢などにより生殖能力が衰えてきてしまい子供ができない状態になる前に凍結する「社会的適応」によるものがあります。
受精卵凍結とは
卵巣から採取した卵子をその状態のまま凍結保存するのではなく、精子と受精させ、正常に細胞分裂が行われた受精卵の段階で凍結保存することを受精卵凍結と言います。受精卵凍結は、不妊治療として行う体外受精の過程の一部として行われる他、今は子どもは望まないが将来的に子どもを望む、結婚あるいは事実婚カップルが加齢などの生殖能力の衰えに備え先に受精卵を凍結する目的もあります。将来的に子どもを望む場合は卵子単独、精子単独で凍結保存するよりも受精卵として凍結保存した方が高い妊娠率を期待できます。
卵子凍結の目的とメリット
若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、妊娠しやすい期間を引き延ばすことができます。下のグラフは2018年日本産科婦人科学会の全国妊娠率です。女性は年齢の上昇に応じて妊娠率が低下し、逆に流産率は上昇します。しかし、若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持することが期待できます。
42歳で体外受精をする場合
42歳で卵子を取り出し体外受精をした場合、妊娠率は約20%、流産率は約44%です。卵子の老化は34歳ごろから急激に進むため42歳時点の老化の進んだ卵子を移植しても高い妊娠率は望めず流産率は高くなってしまいます。
34歳で凍結した卵子を使って42歳で体外受精をする場合
42歳で体外受精をしたとしても使用する卵子が34歳時点の老化が進む前に凍結保存したものであれば、母体年齢ではなく、卵子を凍結したときの年齢(34歳)相当の妊娠率約40%、流産率約18%を期待できます。
※ 妊娠率は日本産婦人科学会ARTデータブックより
年齢を重ねると妊娠が難しくなる理由
どうして女性は年齢を重ねると妊娠が難しくなるのでしょうか。その理由は大きく2つあります。
① 卵子の数には限りがあり年齢とともに減っていくから
② 年齢と共に卵子自体も老化するため、細胞分裂異常が起こりやすくなることが原因で健康な赤ちゃんの誕生に繋がりにくくなるから
若い女性の卵子は卵子自体も若いので、卵子の細胞分裂が正常に行われる確率が高い。細胞分裂が正常に行われた卵子は23本の染色体を持っている。これに23本の染色体を持つ精子が受精し、46本の受精卵ができる。この受精卵は妊娠し健康な赤ちゃんの誕生に繋がる。