精子凍結|何本凍結すればいいのか?
不妊症の検査・治療
精子凍結とは
精子をマイナス196度で凍結し、保存することを精子凍結といいます。 半永久的に凍結保存することが可能です。精子凍結の安全性は医学的に立証されています。
当院では既婚、未婚関わらずすべての方が凍結できますが、状況や目的が異なります。
詳しくはこちらをご確認ください。
何本凍結すればいいのか?
凍結精子を用いた治療には、人工授精と体外受精(顕微授)があります。それぞれの治療において最低限必要な本数をお伝えします。ただし、妊娠には個人差があることから、可能であれば予備として1~2本多めの精子を凍結しておくことをおすすめします。
*凍結する前の精子と凍結融解後の精子では、凍結融解後の精子の方が所見が下回る場合があります。凍結融解後の所見によって使用できる治療が異なりますのでご注意ください。
人工授精に使用する場合
凍結した精子を融解し、パートナーの排卵日に合わせてパートナーの子宮内に注入します。
人工授精について詳しくは以下をご覧ください。
凍結精子を使って人工授精を行うための条件
凍結精子融解後の所見が、精子濃度× 運動率 300 万 以上であること。下回る場合は実施不可となります。また、妻側に人工授精で授かりにくい明確な原因がない場合です。
コンベンショナルIVF
顕微授精(ICSI)
人工授精で必要な凍結精子の本数
人工授精は平均的妊娠率が5~8%と高くないため、回数は 3回くらいまでがよいでしょう。人工授精を3回行っても妊娠が成立しない場合は体外受精(顕微授精)にステップアップすることをお勧めしております。体外受精(顕微授精)での必要凍結精子数は以下「体外受精(顕微授精)に使用する場合」をご覧ください。
人工授精3回分=凍結精子3本
人工授精をする際の女性側の通院回数と費用
通院回数:月2~3回
費用:1周期に約2万円
体外受精に使用する場合
凍結した精子を融解し、妻の排卵日に合わせて採卵した卵子と受精させ、その受精卵を妻の子宮に移植します。
体外受精について詳しくは以下をご覧ください。
凍結精子を使って体外受精を行うための条件
受精方法は大きく分けて2 つあり、コンベンショナル IVF の場合は 融解後の所見で、精子濃度 × 運動率= 1 000 万以上であることが条件です。下回る場合は顕微授精をご検討ください。顕微授精 は少ない精子数でも可能な方法です。
体外受精で必要な凍結精子の本数
体外受精の日本平均(日本産科婦人科学会報告ARTデータブック2019)の生産率(出産に至る確率)は34 歳以下の女性で1移植あたり約34.4%、 35~40 歳で約24.9%です。凍結精子を人工授精には使用せず、体外受精(顕微授精)にのみ使用する場合に 一般的に子ども1人を妊娠できると考えられる凍結精子の本数は次の通りです。
女性側に問題がなく34歳以下なら、
体外受精(顕微授精)2回分=凍結精子2本
女性側に問題がなく35~40歳なら、
体外受精(顕微授精)4回分=凍結精子4本
体外受精をする際の女性側の通院回数と費用
通院回数:月4~10回
費用:採卵から移植まで約20~50万円
凍結精子を使用した治療における妊娠への成功は、男性側だけではなく女性側の要因も大きいです。ご夫婦と医師とで相談しながらどの治療に進み、そして凍結精子をつかうのか、使わないのかを決めていきましょう。