不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。

精子提供による人工授精(AID)とは?治療の流れや費用について解説

不妊症の検査・治療

無精子症などによる不妊の場合、子どもはもてないものとあきらめている方もいるのではないでしょうか。しかし無精子症などであっても、精子提供による人工授精(AID)や体外受精(IVF-D)により子どもを授かる方法もあります。

しかし、AIDやIVF-Dは、子どもの出自や精子提供者との関係をうまく子どもに伝えなければ、子どものアイデンティティの崩壊を招く可能性のある治療法でもあります。この治療を実施する前には夫婦の話し合いや、覚悟が必要となるでしょう。

今回は、AIDがどのようなものなのか、治療の流れや費用について解説します。IVF-Dとの違いもお伝えしますので、男性不妊で悩んでいる方は参考にしてください。

精子提供による人工授精(AID)と体外受精の基礎知識

精子提供による人工授精(AID)および体外受精(IVF-D)とはどのような治療法なのでしょうか。AIDとIVF-Dの基礎知識を説明します。

AIDとは?

精子提供による人工授精(AID)は、夫が無精子症などで絶対的男性不妊の場合に、妻の卵子を用いた子どもをもつため、夫以外の精子を用いて行なう人工授精です。絶対的不妊とは、妊娠するために医療介入が必要な状態を指します。

AIDは次のような手順で行なわれます。

  1. 精子提供者の凍結精子を融解する
  2. 精子を洗浄・濃縮する
  3. 子宮の入口から管を入れて、洗浄・濃縮した精子を直接子宮内へ注入する

AIDの妊娠率

当院でのAIDの妊娠率は以下のとおりです。

  • 31歳まで:6.5%
  • 32~34歳:6.1%
  • 35~38歳:9.2%
  • 39歳以上:4.6%

このように妊娠率は4.6~9.2%と、体外受精と比べて高くありません。これは提供精子をいったん凍結するため、受精する機能が落ちることが理由と考えられています。しかし、提供精子の凍結は、感染症予防のために必要なものです。

IVF-Dとは

IVF-D(非配偶者間体外受精)とは、夫が絶対的男性不妊の場合に、妻の卵子による子どもをもつために夫以外の提供精子を用いて、体外受精・顕微授精を行なう方法です。卵巣から卵子を採取して、体外で提供精子と受精させたのちに再び女性の体内に戻します。

IVF-Dの妊娠率

当院でのIVF-Dの実績はまだありませんが、妊娠率については配偶者間体外受精の成績と同等と予想されます。当院での体外受精の妊娠率は以下のとおりです。

  • 31歳まで:46.8%
  • 32~34歳:56.6%
  • 35~37歳:45.5%
  • 38~40歳:35.8%
  • 41~43歳:26.2%

AIDやIVF-Dでは夫以外の精子を用いるため、生まれてきた子どもに真実告知を行なわなければならないなど、クリアしなければならない問題が多くあります。そのため、AID、IVF-Dを行なうにはさまざまな条件を満たしたうえで、当院の倫理委員会からの承認が必要です。

当院で精子提供による人工授精と体外受精をうける条件

当院で精子提供による生殖補助医療(AID、IVF-D)をご希望される方は精子提供による生殖補助医療のガイドラインをご一読ください。

精子提供によるAIDやIVF-Dは、子どもが生まれてきた過程を知らずに育った場合にアイデンティティの喪失等の恐れのある治療です。そのため、不妊であればだれでもできるというわけではなく、適用条件が定められています。適用条件は、精子提供による治療以外に子どもを授かる方法がない場合です。

夫婦が当院で精子提供による生殖補助医療をうけるためには、(1)~(11)の全てを満たしている必要があります。

(1)日本国籍を有する国内外に居住する日本人で、公的書類(住民票など)により夫婦の現住所を証明できること。また、日本国籍を有していない場合は、日本国の住民票により現居住地が日本国内にあることを証明できること。
(2)法的に婚姻していることが確認できる夫婦。
(3)年齢の条件は次の通りとする。夫婦のどちらかが制限年齢に達した時点で治療は終了します。治療継続中、凍結胚がある場合でも同様です。

女性男性
初診来院日41歳まで(42歳の誕生日の前日まで)44歳まで(45歳の誕生日の前日まで)
初回AID実施日42歳まで(43歳の誕生日の前日まで)45歳まで(46歳の誕生日の前日まで)
初回IVF-D採卵日42歳まで(43歳の誕生日の前日まで)45歳まで(46歳の誕生日の前日まで)
最終治療可能日44歳まで(45歳の誕生日の前日まで)47歳まで(48歳の誕生日の前日まで)

(4)精子の提供を受けなければ妊娠できない医学上の理由がある場合

  • 精子が存在しない、または、精子に受精能力がないことを明確に判断できる場合
  • 精子に受精能力がないことを明確に判断できないが、推定される場合

上記の精子の状態については、担当医にご記入いただく「精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書」を基に当院にて判断します。

(5)夫婦ともに既往歴や現在治療中の疾患は、当院の医師に診察の際伝えること。女性はBMIが30未満であること
(6)無精子症であることを受容している夫婦であること。
(7)第三者の精子提供により家族を形成すること、また、AID・IVF-Dの治療方法を肯定的に受容している夫婦であること。
(8)出自を知ることは生まれてくる子どもにとって基本的な権利であり、親から子どもへの告知は当然必要なことであると自ら考えている夫婦であること。
(9)妊娠中から告知の準備や練習をはじめ、子どもが生まれたらすぐに告知を開始することの重要性が理解できる夫婦であること。子どもが3~4歳頃には出自に関して一定の理解を持つことが出来るようになり、6歳までには精子提供で生まれた事実を自覚できることを目標に、告知を進めることを約束できること。*定型発達をしないお子様もいるので、この方法で進めてみて難しいケースはその都度ご相談ください。
(10)子どもが自らの出自を肯定的に捉えながら成長出来る環境を事前に整えるため、第三者の精子提供で家族をつくることや、告知をしながら育児することへの理解と同意を、子どもと夫婦にとって身近な家族から得られていること。
(11)当院の倫理委員会にて精子提供による生殖補助医療を実施する承認を得られた夫婦

精子提供による体外受精(IVF-D)を実施する場合は(1)~(11)に加えて以下(12)の条件を満たしている必要があります。

(12)妻側に、加齢以外を原因とする体外受精を受ける医学上の理由がある場合

  1. 女性に体外受精を受ける医学上の理由として、AIDを6回以上実施したが、出産に至っていない方。
  2. 過去1年以内のAMHが1.0未満(複数回分ある場合は最も値が低いものを採用)、片側卵管 閉塞(切除)、女性の年齢が40歳以上、以上3つのうちいずれか1つ以上に該当し、なおか つAIDを3回以上実施したが出産に至っていない方。
  3. 両側卵管閉塞、あるいは切除後など、卵管に絶対的な原因がある場合。ただし体外受精を受 ける医学上の理由は当院医師の判断とします。

事実婚カップルは適用条件に当てはまりません。また、レズビアンカップルの場合、選択的シングルマザーの場合もAID、IVF-Dの適用外です。

AIDとIVF-D実施までの流れ

  1. 「AID・IVF-D勉強会」に参加
  2. 当院からお知らせするURLから初診登録をする
  3. 必要書類を当院へ提出
  4. 初診来院、診察、検査
  5. 夫婦で行う学習
  6. カウンセリング
  7. 倫理委員への申請
  8. 精子提供による生殖補助医療の開始

「AID・IVF-D勉強会」に参加

当院で精子提供による生殖補助医療を希望される方は、まず定期的に開催される「AID・IVF-D勉強会」にご参加ください。

初診登録

勉強会に参加された方に[精子提供における生殖補助医療の初診登録]を行うためのURLを配信します。
必要事項を入力して初診登録を行ってください。

書類の提出

精子提供による生殖医療の適用条件を満たしているかどうかを確認しますので、次の書類を当院までお送りください。

①夫は、精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書【男性用】
②妻は、AID・採卵・胚移植のいずれかを行っている場合、あるいは、片側卵管閉塞・両側卵管閉塞の場合は、
精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書【女性用】
精子提供による生殖補助医療を受けるための申請書
④法的に婚姻を確認できる発行から3か月以内の公的書類(日本人の場合は戸籍謄本)、夫婦が同じ国籍の場合は書類は1枚。夫婦が異なる国籍の場合はそれぞれの母国での書類1枚ずつ計2枚必要。日本語・英語・中国語以外の書類の場合は、翻訳機関にて日本語か英語への翻訳を行い、原本と一緒に提出。 
⑤夫婦それぞれの顔写真付き身分証明証のカラーコピーを夫婦それぞれ1枚計2枚
⑥3か月以内の住民票。海外に居住している方はお電話にてお問合せください。
⑦女性から男性に性別変更をされた方は、変更前の性別が記載された公的書類(①の提出は不要)

送付先
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-8-10はらメディカルクリニック倫理委員会申請書類管理係宛
*お送りの際は、簡易書留や宅急便などの送付記録が残る方法をご利用ください。普通郵便などの記録が残らない方法で送付された場合には未着時の責任は負いかねますのでご了承ください。

初診来院・診察・検査

書類の提出に不備がない場合は、当院より初診予約のご案内メールを送信します。ご都合に合わせて初診日をご予約ください。

①お持ちもの・ご提出書類の確認
婚姻関係申告書
・ご夫婦それぞれの健康保険証
心理カウンセリング同意書[精子提供の生殖補助医療]

②ご予約方法、通院、治療に関する説明
③医師の問診
④精子提供による生殖補助医療に関する学習資料の購入
⑤妻と夫の検査
・妻の検査
 感染症と甲状腺検査として、HBs抗原、HCV抗体、RPR、TP抗体、風疹HI抗体、クラミジアPCR、TSH、FT4、HIV、HTLV-1抗体(PA)、AMHの項目を検査
・夫の検査
 血液型検査のための採血 (AIDを実施する施設で血液型を検査する必要があるためです)

妻の検査については、1年以内に実施した他院の検査結果がある場合はそれを適用できます。夫の血液型は必ず実施します。

夫婦で行なう学習

夫婦が精子提供の医療の特性を理解し、生まれる子どもの福祉を大切にできるような支援プログラムを用意しています。

■書籍

①AID 家族になるということ(著者:すまいる親の会)

②AIDで生まれるということ 精子提供で生まれた子どもたちの声(著者:非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループDOG: DI Offspring Group, 長沖 暁子)

③大好きなあなただから、真実を話しておきたくて 精子・卵子・胚の提供により生まれたことを子どもに話すための親向けガイド(著者:オリビア モンツチ 翻訳:才村 眞理)

■動画

AIDで授かる子どもと幸せな家族を築く(社会福祉士:才村眞理先生)

カウンセリング

夫婦で行なう学習が終わり、十分な話し合いを経て、この治療を受けることを決意した場合は、カウンセリングにお進みいただきます。

<カウンセリング時の持ち物>オンラインの場合は2日前に到着するよう郵送
①ワークシート(AID、IVF-Dの勉強会に参加した方にのみ内容をお伝えします)
精子提供による生殖補助医療の同意書

カウンセリングでは、夫婦が精子提供で生まれた子どもと、どのように家族を形成していくのかについて具体的に伺います。また、必要なカウンセリングの回数は夫婦により異なります。1回で終了する夫婦もいれば、数回必要とする夫婦もいます。

倫理委員会へ申請

ご提出いただいた書類やカウンセリング記録をもって当院側で倫理委員への申請を行います。

倫理委員会での審議の結果はカウンセリングから21日以内に事務局からご夫婦へメールまたは文書にて通知します。

承認の場合は治療を開始。非承認の場合は再申請できないため終了。

精子提供による生殖補助医療の開始

倫理委員会で承認された後は、精子提供による生殖補助医療を開始します。方法は2種類あり、非配偶者間人工授精(AID)と非配偶者間体外受精(IVF-D)です。いずれも妻の排卵日を管理しながら行います。

治療にかかる費用

治療により妊娠・出産したら

AID・IVF-D妊娠卒業後面談

AID・IVF-Dの妊娠9週~20週の間に、ご夫婦一緒にAID・IVF-D妊娠卒業面談を受けてください。内容は、手続きのこと、告知の確認、子育て中の支援のこと、子どもが18歳以上になりドナーと接触したい場合の方法(IVF-Dのみ)、子どもの近親婚を避けるための確認方法、精子提供者の周辺情報と病歴の開示などです。この面談は必須であり、拒否はできません。

AID・IVF-Dで妊娠予後の報告は3ヵ月以内

AID・IVF-Dで妊娠予後の連絡は必須です。出産・流産・死産・人工中絶から3ヵ月以内に専用フォームにてご報告ください。

出産後3か月以内に戸籍謄本を提出

AID・IVF-Dの出産から3ヵ月以内に生まれた子どもが記載された戸籍謄本を提出してください。当院はこの提出をもって、生まれた子どもは当院の精子提供の生殖補助医療によることを認定します。戸籍謄本の提出が無い場合には、もし、将来子どもから申し出があった場合でも、その子が当院の精子提供の生殖補助医療以外の方法で生まれたことを否定できないため、これを認めることはできません。

子どもが18歳になるまで毎年調査票を提出

告知の状況、子どもの発育状況、病気などの状態、家族の関係、子育てに関する調査になります。また、ご出産後も当院の支援は継続します。子育て中は、どんな困りごとがうまれても、自然なことです。当院はいつでも皆さんをサポートしますので、いつでもご相談ください。

AID・IVF-D治療再開面談

AID・IVF-D治療中または倫理委員会での承認を得た後、2年以上の中断があった場合、または出産を挟んで治療を再開する場合は、夫婦一緒に「AID・IVF-D治療再開面談」を受けください。方法は、対面もしくはオンラインです。費用はかかりません。出産を経て、次の子どものための治療を希望する方は、既にいるお子様への告知が開始されていることなどを面談にて確認します。面談後、治療の再開が可能かどうかのご連絡は、14日以内にいたします。

精子提供者について

精子提供による生殖補助医療は、精子提供者があってはじめて成り立つ医療です。提供者は、ご夫婦のこれまでの苦労や、子どもをもちたいという気持ちを理解し、協力してくださる人たちです。詳しい内容は「精子提供」という説明PDFをご覧ください。

子どもの出自を知る権利について

出自を知る権利とは「①自分がどのようにして 生まれたのか」そして「②自分の遺伝的ルーツは どこにあるのか 」を知る権利のことです。「①自分がどのようにして 生まれたのか」とは、このケースにおいては、精子提供による生殖補助医療で生まれたことを親から子どもが聞く権利を意味します。当院では、この権利を保護するために治療を受ける夫婦は生まれる子どもに真実告知をすることを必須としており、そのための学習やカウンセリングを行なっています。「②自分の遺伝的ルーツは どこにあるのか 」とは、精子提供者を知る権利のことを意味します。②のにおいて当院が提供できる範囲は以下の表の通りです。

AID(人工授精)IVF-D(体外受精)
使用する精子の
提供者(ドナー)登録時期
2022年1月以前2022年2月以降2022年2月以降
精子提供者(ドナー)の匿名性匿名匿名非匿名
精子提供者の周辺情報
(ドナーの身長・体重、簡単な体の特徴、職業、趣味、国籍、血液型、病気・遺伝情報、精子提供する理由)
非開示妊娠後の夫婦に開示妊娠後の夫婦に開示
精子提供者の3親等以内の病歴非開示妊娠後の夫婦に開示妊娠後の夫婦に開示
18歳以上の子どもとドナーの接触不可能不可能可能
子どもの近親婚を回避するための確認不可能可能※可能※

※当院が提供する精子提供による生殖補助医療において、同一ドナーから生まれた子どもかどうかについて確認が行えます。

提供精子による生殖医療のFAQ

一般的質問

精子提供による生殖補助医療について詳しく知りたいです。

精子提供による生殖補助医療のガイドラインに詳細がありますのでご覧ください。

医療提供書類

提供精子による生殖補助医療の医療情報提供書【男性用】【女性用】を記入するのは誰ですか。

これまでの治療を担当された施設の医師に記入を依頼してください。この書類以外には医師の記入が必要な書類はありません。診断書も不要です。複数の施設で治療をした場合は、それぞれの施設の医師に記入を依頼してください。

法的婚姻書類

法的に婚姻を確認できる、発行から3ヵ月以内の公的書類について、日本人同士の夫婦、一方が日本人と外国人の夫婦、外国人同士の夫婦の場合に分けて詳しく教えてください。

(日本人同士の夫婦)
戸籍謄本がこれにあたります。3ヵ月以内のものをご用意ください。行政によっては戸籍謄本を郵送してくれます。

 (日本人と外国人の夫婦)
日本人は戸籍謄本を取り寄せてください。その戸籍謄本に配偶者の名前が入っている場合でも、配偶者の国の書式で配偶者を筆頭とした法的な婚姻を確認できる書類が別途必要です。書類は、本人と配偶者氏名、婚姻日、婚姻を受領した機関名が入っている公的な書類であることが条件です。母国の大使館(領事館)にご確認いただきご用意ください。3ヵ月以内のものをご用意ください。日本語・英語・中国語以外の書類の場合は、翻訳機関にて日本語か英語への翻訳を行ない、原本と一緒にご提出ください。

 (外国人同士の夫婦)
法的な婚姻を確認できる母国の公的書類が必要です。書類には、2人の氏名、婚姻日、婚姻を受領した機関名が入っていることが条件です。母国の大使館(領事館)にご確認いただきご用意ください。2人の母国が同じ場合には書類は1枚で良いです。2人の国が異なる場合は本人を筆頭とした書類をそれぞれ1枚合計2枚ご用意ください。3ヵ月以内のものをご用意ください。日本語・英語・中国語以外の書類の場合は、翻訳機関にて日本語か英語への翻訳を行ない、原本と一緒にご提出ください。

倫理委員会

倫理委員会に申請後、非承認になるご夫婦が約4~6%いるのはなぜですか。

これまでの治療を担当された施設の医師に記入を依頼してください。この書類以外には医師の記入が必要な書類はありません。診断書も不要です。複数の施設で治療をした場合は、それぞれの施設の医師に記入を依頼してください。

倫理委員会に申請後、非承認の場合に費用の返金はありますか。

倫理委員会への申請費用 33,000円(税込)は1,000円の手数料を引いてご返金いたします。ただし、倫理委員会申請までにかかった費用(書籍・冊子購入費用、カウンセリング費用など)は返金できません。

倫理委員会に申請後、非承認の場合は再度申請できますか。

いいえ、提供精子による生殖医療の適用について、夫婦が倫理委員会に行なえる申請は1回のみです。

親兄弟親戚知人から精子提供を受けること

親兄弟親戚、知人からの精子提供はできますか。

一義的に、治療を受ける夫婦は精子提供者を知ることはできません。これは、精子提供者と被提供者が顕名の関係になると、両者の家族関係に悪影響を与えるなどの弊害が予想されるためです。また、当院では親、兄弟、親戚からの精子提供による生殖補助医療は行ないません。それは、提供を強要されるという弊害が⽣じうる可能性があるほか、提供によって⽣まれた⼦が提供者と⾝近な存在になることから複雑な家族環境になりやすく、⽣まれた⼦の福祉の観点から適当ではない事態が発⽣する可能性があるためです。適切なヒアリング、カウンセリング、告知を⾏なうことにより、このような問題は起こらないとの報告もありますが、当院はそのような実証例の経験がある職員を有さないため、これら弊害に対して解決支援することが十分にできないと判断し、実施はいたしません。

子どもの数

提供者1人から誕生する子どもの数は何人ですか。

日本産科婦人科学会では、1人の精子提供者から生まれる子どもの人数は10人を上限としています。当院は1人の精子提供者から子どもが2人誕生した時点で当該提供者の精子凍結を停止します。また、それまでに当該提供者が凍結保存した精子は、生まれる子どもの人数を慎重に把握しながら使用します。

提供精子による生殖補助医療を受ける夫婦が産むことができる子どもの数は何人ですか。

当院では、AIDならびにIVF-Dのいずれかの方法によって1組の夫婦が生める子どもの人数は合計2人までとします。すでに他院の提供精子による生殖補助医療で誕生した子どもがいる場合はその人数は含めません。ただし、第一子が他院の匿名ドナーの場合、当院のIVF-Dで生める子どもの人数は2名ではなく1名までとします。これは、きょうだいにおける非匿名ドナー割合を増やさない為です。きょうだい間でドナーが匿名と非匿名で異なることは難しい問題を含みます。「匿名提供精子で生まれた子のいる家族における次の子どものためのIVF-Dの説明と同意書」と面談を通じて夫婦の準備を確認します。

それぞれの実施までにかかる期間

初診予約がとれるまでどのくらいですか?

はじめてのAID・IVF-D勉強会に参加後、提出書類に不備がなければ、初診予約をとることができる診療予約システムのURLをお知らせしますので、各自でご都合に合わせてご予約いただけます。空きがあれば直近の予約が可能です。

カウンセリング予約はいつすればいいですか?

夫婦の学習や話し合いが終わり、準備ができたと思ったらご予約ください。

倫理委員会で承認されたあとは、はじめてのAIDをするまでの期間はどのくらいですか?

承認後はすぐ次の周期からAIDが可能です。

1回目のAIDを実施してから2回目のAIDを実施するまでの期間はどのくらいですか。

連続周期のAIDが可能です。ただし、今後もし提供精子数が不足する場合には連続周期行なえない場合もあります。そのような場合はメールでご連絡いたします。

IVF-D説明会はどのくらいの頻度で開催しますか?

現時点では全くわかりません。提供精子の数を鑑みて対象者を選定し行ないます。IVF-D説明会開催のご連絡はメールで行ないます。

一度IVF-Dを実施し、すべての凍結胚を移植しても妊娠が成立しなかった場合や、胚が凍結できなかった場合にはすぐにIVF-Dの採卵周期にはいれますか?

はい、入れます。採卵を希望する月経周期2、3日目にご来院ください。

ただし、提供精子のストック状況によっては待機時間が発生する可能性もございますのでご了承ください。

提供精子の生殖補助医療に関するメルマガ新規登録

当院は、提供精子の人工授精や体外受精に関する情報を通院中の患者にメルマガ「D配信]を配信しています。まだ通院していない方で情報を希望する場合は以下よりご登録ください。なお、メルマガを停止する場合も以下より登録してください。

まとめ

無精子症などによる絶対的男性不妊が原因で、もう子どもはもてないと思っていた夫婦にとって、AIDやIVF-Dは福音ともいえる治療法です。一方で、AIDなどで生まれてきた子どもに対して、自分がどのようにして生まれてきたのかをうまく伝えなければならないという問題も生じてきます。

しかし、家族というものは必ずしも血縁関係が必要というわけではありません。養子縁組もそうですし、なによりも血縁のない夫婦が家族として暮らしているということがそれを証明しているのではないでしょうか。

はらメディカルクリニックでは、電話またはお問い合せフォームから相談を承っています。もし、男性不妊で悩んでいるのであれば、ぜひ一度当院へご相談ください。

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