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【不妊治療】タイミング療法について|全体の流れや費用、成功率を少しでも上げる方法を紹介

不妊症の検査・治療

不妊治療を検討するなかで、タイミング療法の内容や費用が気になる方も多いのではないでしょうか。タイミング療法は自然妊娠と変わらないため、金銭的・肉体的な負担が少ない方法です。

この記事では、不妊治療におけるタイミング療法の概要や具体的な流れ、治療費用について解説します。併せて、少しでも不妊治療の成功率を上げる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【不妊治療】タイミング療法の概要について

ここでは、タイミング療法の内容や対象者を解説します。

タイミング療法とは

タイミング療法とは、排卵日を超音波やホルモン採血により予想し、妊娠可能期間を正確にとらえることで妊娠のチャンスを高める方法です。

自身で基礎体温を記録したり、排卵検査薬を用いて妊娠しやすい時期を判断したりする方法とは異なります。タイミング療法は、医師が排卵日を正確に予測したうえで、性交渉のタイミングを指導するのが特徴です。指導されたタイミングに合わせて性交渉を行なうことで、妊娠の確率を高めます。

治療期間の目安は3~6ヵ月です。「医師によるタイミングの指導があること」以外は自然妊娠と変わらないため、不妊治療としては金銭的・肉体的な負担が少ないことがメリットでしょう。

タイミング療法には、自然な生理の周期に合わせて行なう方法と、排卵が遅かったり、排卵自体が難しい場合に薬を使って排卵を調整する方法があります。周期にばらつきがあり、基礎体温がガタガタという場合でも、診察やホルモン検査を行なって排卵日を予測することが可能です。

また、排卵に問題がない場合でも、妊娠率を高めるために薬を使用することもあります。

一方、不妊原因が発覚した場合は、原因の治療や薬物療法を行ないながらタイミング療法をすることがほとんどです。

対象となる方

タイミング療法の対象者は以下のとおりです。

  • 避妊をせずに半年間性交渉をしても妊娠しない夫婦
  • 女性の場合:卵管に異常がない
  • 男性の場合:精子の数や運動率に異常がない
  • 医師が指示した日に性交渉ができる環境いる夫婦

タイミング療法では、医師のタイミング指導のもと自然妊娠することを目指します。そのため、女性の場合は卵管の通過性に異常がないことが重要です。また、年齢は35歳くらいまでが良いとされています。

男性であれば、精子の数や運動率に異状がないことが大切です。検査結果、精子の数が少なかったり、動きが悪かったりした場合は泌尿器科を受診すると良いでしょう。

また、タイミング療法は、妊娠可能期間を正確にとらえることで妊娠のチャンスを高める方法なので、スケジュールを守ることが欠かせません。性交渉のタイミングはもちろん、排卵日の正確な予測や検査をするために指定された時期に通院する必要があります。

例えば、出張が多い、単身赴任で会う機会が少ないなど、スケジュールが乱れやすい状況下でのタイミング療法は難しいでしょう。

タイミング療法の流れ

ここでは、タイミング療法で用いられる方法や、具体的な流れについて解説します。

タイミング療法で用いられる方法

タイミング療法は、次のような方法を用いて行なわれます。

・完全自然排卵周期

排卵まで薬は一切使用せず、自然に分泌されるホルモンによって成長した卵胞の排卵時期を予想し、妊娠可能時期に性交渉をもつように指導します。

・排卵誘発

遅延排卵や排卵障害などの卵胞発育不全の症例に対し、卵胞発育を促して排卵の確率を高めます。また、その結果形成される黄体の機能改善を図ります。

・LHサージ誘起

成熟された卵胞を排卵させる目的で使われます。hCG注射または点鼻薬使用後、約36~40時間後に排卵が起こるので、それに合わせた時期にタイミング指導を行ない受精の確率を高めます。

・黄体補充療法

黄体機能の低下は妊娠率を下げる一番の問題点です。その原因として、LHパルスの異常、LHサージレベルピークの低下や持続時間の異常、黄体機能調節因子の分泌異常、正常なホルモン分泌に反する子宮内膜の反応性低下などがあります。自然の内因性プロゲステロンで黄体を維持する方法と、黄体補充を行なう方法があります。

タイミング療法の流れ

タイミング療法は、以下のような流れで行なわれるのが一般的です。なお、完全自然排卵周期では排卵まで薬を使いませんが、排卵誘発を行なう場合は生理1~5日目で排卵誘発剤の使用を検討します。

・生理10~12日目:超音波検査

この時期には、卵胞がどの程度成長しているかを超音波検査でチェックし、排卵日を予測します。卵胞の成長が遅れているときや超音波検査のみでは予測が難しいときは、血液検査の併用により予測の精度を高めることが可能です。

・生理12~13日目(排卵36~40時間前):LHサージ誘起

卵胞が順調に成長している場合、エストロゲンホルモンが上昇し、さらに排卵を促進するLHホルモンも急上昇します。これをLHサージと呼び、のちに排卵が起こります。

LHサージを起こす方法は、おもに2つです。自然にLHサージを起こす場合は、この時期に通院する必要はありません。確実にLHサージを起こす場合は、成熟した卵胞を排卵させるためのお薬を使います。

・生理13~14日目:性交渉

超音波検査日に医師から日程が指示されるため、その日に性交渉します。

・生理14日目以降(排卵後):黄体補充療法

黄体機能が低下すると、妊娠の成功に悪影響をおよぼします。着床に至るには、この時期に黄体を維持することが欠かせません。対応方法は2つあり、黄体補充を行なう場合と、自然に任せそのまま様子をみる場合です。

黄体補充を行なう場合は、以下を用いて黄体を維持します。

  • 黄体ホルモン経口薬
  • 卵胞+黄体ホルモン経口薬
    • 黄体ホルモン膣座薬
    • 黄体ホルモン注射
    • hCG 注射

・生理28日目以降(生理予定開始日以降):妊娠判定

予定していた生理開始日を過ぎても生理がこない場合は、血液検査でhCGホルモンを測定して妊娠判定をします。

タイミング療法の費用

タイミング療法にどれくらいの費用がかかるのか、気になる方も多いでしょう。ここでは、同一月内に通院した場合の費用を紹介します。ただし、通院回数や必要な検査などは個人によって異なるため、あくまでも参考程度にとどめておいてください。

タイミング療法(1周期)の費用は約7,000円で、内訳は以下のとおりです。

生理3~4日目

診察、検査、薬代:約3,500円(保険)

排卵誘発剤の相談や、薬を処方するための診察を行ないます。これはホルモン検査とクロミッド錠50mg(1錠5日分)を処方したケースを想定しています。

生理10~12日目

診察、超音波検査:約1,800円(保険)

排卵日を正確に予測するための診察ですが、このとき卵胞がまだ育っていなければもう一度、ご来院いただく場合もあります。
また、排卵を確実に促すときには注射を打つこともあります。

生理16~23日目

診察、超音波検査:約1,800円(保険)

生理16~23日目の診察は、排卵がちゃんと起こっているか確認したい場合にのみご来院いただきます。
必要に応じて黄体補充薬の処方も行ないます

不妊治療で少しでも成功率を上げる方法

年齢を重ねると、卵子の質が低下する、卵母細胞の数が減少する、精子が老化するなどの変化で妊娠が難しくなります。少しでも成功率を上げるには不妊治療をしっかり行なったうえで、生活習慣を改善していくことが大切です。

ここでは、成功率をアップさせる3つの方法を紹介します。すべて行なう必要はないので、できることから一つずつ取り入れてみてください。

体を冷やさないようにする

体が冷えると血液の巡りが悪くなり、卵巣機能の低下につながる可能性があります。体温を上がれば血流が良くなるため必要なホルモンが卵巣に届きやすくなり、卵胞の成熟につながります。

体を冷やさないためには、特に以下のことを心がけてください。

  • 腹部を腹巻きなどで温める
  • 38~40度の湯船に浸かる
  • 温かい飲み物を飲む
  • 有酸素運動を定期的に行なう

できる限りストレスをためないようにする

ストレスが過剰にかかると、ホルモンのバランスが乱れ、排卵に影響が生じることがあります。十分な休養を摂り、リラックスできる時間を確保しましょう。

また、ストレスを減らす習慣作りも重要です。例えば、以下のことを取り入れてみるのも良いでしょう。

  • SNSの情報をシャットアウトする
  • イライラ・モヤモヤする気持ちを紙に書き出す
  • 一日15分以上ウォーキングする

SNSは仲間との交流に役立つ反面、出産報告や家族写真などを目にして落ち込むこともあるでしょう。ネガティブな感情が起きにくい状況を作ったり、自分に合ったストレス解消法を見つけたりすることが大切です。

タンパク質や妊娠に必要な栄養素を摂る

タンパク質は細胞の増殖や代謝に必要な酵素の原料です。卵子や精子の細胞増殖にも関わっているため、タンパク質が不足すると妊娠の可能性が低くなるでしょう。実際、不妊治療を受けている方の多くに、代謝の低下がみられることがわかっています。

そのため、タンパク質が豊富な卵や大豆製品、豚の赤身などの食品を積極的に取り入れましょう。併せて、青魚やナッツ類に含まれる良質な脂質を摂ることも大切です。

体内で生成されない栄養素は、サプリメントや医薬品で補うのも良いでしょう。特にビタミンDには卵の成熟を促す作用があり、ビタミンDの十分な摂取が着床率や妊娠率に良い影響を与えたとする報告も存在します。

また、亜鉛が不足すると精巣の機能不全につながる可能性があるため、必要な量を摂取するよう心がけましょう。

まとめ

タイミング療法は、不妊治療のなかで金銭面、肉体面ともに負担の少ない治療法です。卵管や精液に異常がなく、自然妊娠が可能な方が対象ですが、医師から提示されたスケジュールをきちんと守る必要があります。

タイミング療法を成功させるためには、ストレスがたまりにくい生活を送ったり、タンパク質やビタミンD、亜鉛などをしっかり摂取したりすることが重要です。パートナー同士で協力して、タイミング療法を成功に導きましょう。

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