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お知らせ

D通信#2:IVF-D採卵までのスケジュール2/20更新、なぜ提供精子は保険適用外なのか

*本メールはAIDをしている人に配信します。
【1】IVF-D採卵までのスケジュール2/20更新
【2】なぜ提供精子は保険適用外なのか?

【1】IVF-D採卵までのスケジュール2/20更新
D配信#1でお知らせした通り、第1回IVF-D採卵までのスケジュールを更新いたします。第1回IVF-D採卵の対象者については、6月5日(日)に皆様にメール配信いたします。また、IVF-Dをする場合に夫婦での参加が必須となる第1回IVF-D説明会は7月2日(土)です。詳しくは、以下URLよりご確認ください。
https://www.haramedical.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/12/schedule_d.pdf

【2】なぜ提供精子は保険適用外なのか?
不妊治療は、4月より大部分が保険適用となりますが、提供配偶子(精子・卵子)の生殖補助医療に対しては、保険適用は見送られました。この決定はとても残念ですが、決して、国が提供精子の医療を排除しているということではないので誤解しないでください。「まだ国として検討段階にある事案が多い中で公的資金の投入は時期尚早」という理由です。この状況を当院の解釈にて説明させていただきます。

●解決した問題と残された問題
日本には生殖医療に関する法律がありませんので、日本産科婦人科学会の会告に準じて治療が行われます。しかし、提供配偶子の医療は、第三者の配偶子が必要となることから、治療をする夫婦・配偶子の提供者・生まれる子どものそれぞれの権利を法が保証する必要があるということが2001年から明文化され議論されてきました。

<解決した問題>
2020年12月、提供配偶子の治療で生まれた子どもの父親は、第三者の配偶子提供者ではなく、治療をした夫婦の父親であるという親子関係を明確にする法律が成立しました。この法律が成立したことで、安心して提供配偶子の医療が行えることから、当院はこの度体外受精に踏み切ることができました。

<残された問題>
第三の配偶子で生まれた子どもの出自を知る権利については、2020年12月に決定することができず、「2年を目途に検討する」とされました。その2年後とは今年の12月です。今年の12月までに出自を知る権利は法整備の方向になるのか、それとも法整備はしないという方向になるのかが示されます。これが法整備され、学会によってルール化されれば、残された問題はなくなるので、保険適用の障害はなくなり、提供精子の医療も保険適用になるはずだと当院は考えています。

<出自を知る権利は法整備されるのか?>
今年12月までに方針が示されます。当院が体外受精を実施することをうけて、日本産科婦人科学会は国に公的機関設立の要望をしました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/846c210d7b89a41235bfc80989b87bd8ff4e7223
このことは、出自を知る権利の法整備への後押しになると思われます。当院は、出自を知る権利が法整備されることを祈っています。

<もし法整備の方向になった後は?>
もし法整備の方向が示されたら、具体的な法律案が議論され、法の成立まで数年かかると思われます。そして、成立後は施行まで数年かかります。よって、実際の法律の適用まではまだ時間がかかります。

<出自を知る権利が成立した後は?>
成立から施行まで3年くらいの猶予が予想されます。法律の内容次第では「匿名精子」は廃止されます。その場合には、猶予期間の間に、当院は匿名の精子ドナーとの契約を終了します。

<出自を知る権利が成立したら、過去の匿名治療も開示される?>
これについては、よく質問されますが、「過去に遡って法律が適用されることは原則ない」と考えています。法の一般原則として、不遡及の原則があります。諸外国の立法例をみると、当初は遡及適用なしとされた国や州であっても、その後の議論により遡及効を認める法改正をしたオーストラリア(ビクトリア州)という例はあります。しかし、この立法例は、長期にわたり議論を重ねて立法に至ったものであり、議論不足が否めない日本と全く状況が異なります。また、他国においては、遡及効について再議論を行ったが結果的に不遡及を貫いている例もあります。日本はこの点において保守的と思われますので、オーストラリア(ビクトリア州)のような遡及効を認める立法はおよそ考えがたいといえます。

♪皆さまに伝えたかったことは、保険適用外になったことは、国がこの治療を否定しているのではなく、まだ未解決なことが多いから、それが決まってからにしましょうねということなんです。その動きはゆっくり過ぎて困ってしまいますが、でも確実に進みはじめていることをお伝えできればと思いました。

(2022年2月20日)

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