D配信#28:今後のAID・IVF-Dについて現時点での見通し
7月8日までに、対象者の90%にあたる474名の方にD配信#26の既読確認を頂戴し、そのうち173名の方から貴重なご意見をいただきました。そのご意見は、院長や副院長をはじめ、ガイドライン変更を担当する全スタッフが真摯に拝見しました。皆様から寄せられた一つ一つのご意見に、治療への真剣な思いを強く感じ、このような状況に至ったことを深くお詫び申し上げます。今後のAID・IVF-Dの見通しについてと、多く寄せられたご意見に対してお答えできる範囲でお伝え致します。
【1】違反の詳細について
【2】ガイドラインの変更点
【3】今後のスケジュール
【4】AIDの今後について
【5】IVF-Dの今後について
【6】ドナーインタビュー
【1】違反の詳細について
ガイドライン違反の詳細について尋ねるご意見が多くありました。適切なタイミングが来たら詳細を皆様に共有することを考えています。現在は諸事情を鑑みて、公表は出来ないことをご了承ください。本件については、日本産科婦人科学会への初報告を6月28日に完了しました。学会では情報の取り扱いを最小限にするため、現在、内容は一部の常任理事だけが把握しています。再発防止策を記載した当院の最終報告の後に、学会からの見解が示される見込みです。
【2】ガイドラインの変更点
ガイドラインの変更点は多岐にわたります。変更内容については説明会をzoomにて開催し、これまでの経緯とともに詳細をお伝えする予定でおります。説明会に参加できない方のために、録画を後日公開します。説明会は9月23日(祝土)を予定していますが、状況により変更となる可能性があります。時間は外来診療終了後の夕方を予定しています。
【3】今後のスケジュール
7月中にはガイドラインと各種書類の修正を行い、8月には法的な確認と倫理委員会への申請を進めます。倫理委員会の承認が得られ次第、9月初旬頃に日本産科婦人科学会への最終報告を行う予定です。
【4】AIDの今後について
AIDは国と学会から認められている治療法であり、当院はAID実施登録施設です。したがって、今回のガイドライン違反によってAIDが停止されることはなく、必ず再開できます。
既にAID治療を行っている夫婦については、ガイドラインの変更後、「新ガイドライン同意書」の提出が必要となります。また、倫理委員会への申請前または申請中に治療が停止となった夫婦については、新たに設置される「AID勉強会」への参加と「新ガイドライン同意書」、「新ワークシートなど」の提出が必要となります。第一回AID勉強会は9月28日(木)12:30から約3時間を予定しています。zoomによる参加や、後日の録画視聴が可能です。詳細は後日お知らせします。今後AID勉強会は月に1回の頻度で開催する予定です。
【5】IVF-Dの今後について
一方、IVF-Dは国と学会から未だ認められていない治療法です。当院が責任を持って、独自のガイドラインを作成して実施している治療です。同じ精子提供の医療であっても、AIDとは全く異なる立場にある治療であることをご理解いただきたいと思います。
なぜ当院が、学会や国に認められていないIVF-Dを開始できたかというと、それは国と学会に認めてもらえるように報告を続け、実績を積み重ね、信頼を得られるよう真摯に取り組んできたからです。当初は反対だった学会は最終的にIVF-Dを黙認して下さり、子どもの福祉を最優先に考える当院の姿勢を評価してくださり、学会のシンポジウム等で発言の場を任せてくれるまでになりました。しかし今回、重大なガイドライン違反が発覚することとなりました。本当に当院としても残念でなりません。
9月初旬には学会に対し、再発防止策と改訂ガイドラインの報告を行う予定です。その後、IVF-Dが再開できるかどうかは学会の指示によるところです。現状では新規IVF-Dの再開を約束することはできませんが、学会との信頼を再構築できるよう、最善を尽くしたいと思います。
新規IVF-Dが再開できる場合、IVF-D前個別説明(培養士)は速やかに再開します。IVF-D説明会はスムーズに進行したとしても10月中旬~下旬の開催となる見込みです。また、IVF-Dについてもガイドラインの変更がありますので詳細は後日お知らせします。
【6】ドナーインタビュー
この情報はガイドライン違反とは無関係なお知らせです。当院ではドナーについて知るために、ドナーのインタビューを実施しています。ドナーの素直な考えを聞くことを目的としており、事前に質問は伝えず、インタビューの中で自身の考えを述べる形をとっています。
この度、その公開にドナーから同意が得られたものを記事にしました。以下のリンクから閲覧いただけますので、ご興味があればぜひご覧ください。ただし、これは一人のドナーの考えに過ぎません。すべてのドナーが同じ考えを持っているわけではないことをご理解ください。
https://www.haramedical.or.jp/feature/interview03
(2023年7月9日)