妊娠反応が陽性だったとき、医師から「妊娠しています」と言われたとき、うれしさと同時に、本当に妊娠しているのだろうか? 順調に妊娠が継続するだろうか? という不安も生まれてくると思います。妊娠初期に起こりうる医学的な症状について解説します。参考になさってください。
① 下腹部の膨満感・ひきつれ感について
妊娠していない子宮の大きさは鶏の卵1つ分です。それがこれから3キロの赤ちゃんを育てる大きさにまで大きく変化します。妊娠初期の腹痛は大きくなり始めた子宮が、周囲を圧迫するために生じる痛みと考えられます。また、ひきつれる感じは子宮を支えている靱帯が、急激な伸びに悲鳴をあげている、けいれんを起こしていると考えられます。いずれも正常な妊娠経過の痛みですので、安静に過ごして様子を見ましょう。
② 分娩施設へご転院について
妊娠方法が体外受精なのかどうか、不妊治療をしたのかどうかは誰にもわかりません。当院からの紹介状を希望されない場合は、お近くの婦人科で妊娠診断書を書いてもらい、分娩施設にお持ちください。
③ 出血について
妊娠中の出血は流産に結びつく怖いものと考えられがちですが、妊娠6週までに約7割の方が出血を経験しています。トイレでティッシュに血がつく程度であれば心配ありません。ただ
し、月経のような量の出血があった場合はクリニックまでご連絡ください。
④ 流産について
妊娠反応が出た後に辛いお話ではありますが、人間は流産しやすい動物であることを知ってください。流産の原因は受精卵(胎児)の染色体異常による場合がほとんどです。決して不妊治療をした人に多いわけではありませんし、流産の原因が皆様の行動(運動や食生活)にあるわけでもありません。流産の確率は、35歳前後で13〜16%、40歳以上の方で20〜30%、44歳以上で40%以上といわれています。医学的には初期流産は種の保存のためにやむをえない現象であり、何をしたから、また何をしなかったから流産してしまったということはありませんので、妊娠したからといって急に生活を変える必要はありません。
流産を止める薬や治療はありません
胎ノウの成長が確認できない場合や、多めの出血が続く場合でも、残念ながらそれを止めることはできません。安静にして様子を見守りましょう。
流産ソウハした組織の検査ができます
流産の原因が胎児の染色体異常なのか調べたい場合は、流産組織の検査ができます。費用は85,000円(税別)です。