不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。

精子の洗浄濃縮・選別の方法

不妊症の検査・治療

精子の洗浄濃縮とは

人工授精や体外受精・顕微授精では射精した精液をそのまま使うことはありません。
通常、精液には精漿(精液の精子以外の液体成分)や不純物(ゴミ、細菌、白血球など)が含まれており、また元気な精子以外にも不動精子や動きの奇形の精子が入り混じっています。
精子洗浄を行うことで、それらを可能な限り取り除き妊娠成功率を高めます。

洗浄濃縮の方法

密度勾配遠心法

密度勾配遠心法は、従来から行われる精子を分離・濃縮する方法です。
この方法では精子密度勾配遠心用培地と呼ばれる培養液とともに精液を遠心分離にかけます。すると精子と精漿や不純物、そして生きている精子と、死んでいる精子や奇形の精子とを分離することができます。
ただし、この方法は遠心分離を行うことにより、精子と精子がぶつかり元気な精子までも死んでしまう、精子に酸化ストレスがかかりDNAが損傷する、といったリスクがあります。

ZyMōt(ザイモート)スパームセパレータ―

ZyMōtスパームセパレーターとは、フィルターと精子の運動性を用いて、最も運動性のある機能的な精子をより多く抽出ための精子選別デバイスのことです。ZyMōtスパームセパレーターを使った方法では遠心処理を実施しないため精子への物理的なダメージをなくすことができます。また運動良好な精子を短時間で回収するため、精液中に含まれる白血球や活性酸素によって引き起こされる精子DNAの断片化を最小限にすることができます。
ただし、従来の方法にくらべて精子調整後の精子回収量が少ない、原精液の状態によっては良好運動精子を回収できない、といったデメリットがあります。そのため、体外受精(コンベンショナルIVF)では使うことができません。

顕微授精における精子の選別

顕微授精とは卵子に1つの精子を直接注入して受精させる方法です。この1つの精子を選ぶ方法には3通りあります。

ICSI 従来の方法

従来の方法では400倍以下の顕微鏡で良好な運動性と正常形態を持ちあわせた精子を選びます。しかし、顕微鏡 400培以下の観察で形態良好な精子であっても、頭部に空胞がある等、通常の倍率では確認できない形態の違いを持つ精子を選んでしまうリスクがあります。

IMSI (※当院では行っておりません)

IMSI とは、1000倍以上での精子観察を可能とした専用の顕微鏡を用いることで、精子の頭部の状態などをより詳細に観察し、従来の方法より良い形態の精子を顕微授精に用いる方法のことです。

PICSI

PICSIとはヒアルロン酸を用いて成熟した精子を選別し顕微授精させる方法のことです。
精液中の精子にはDNAの損傷が少ない「成熟精子」、DNAの損傷が多い「未熟精子」が混在しています。顕微授精で「成熟精子」を用いることで成績が改善することが多く報告されていますが、残念ながら「成熟精子」と「未熟精子」は従来の方法やIMSIで区別することは出来ません。そこでPICSIでは「成熟精子」はヒアルロン酸に吸着するという性質を利用し、成熟した精子を選別します。そうすることで異数性胚(流産してしまったり、染色体異常を持つ児を妊娠する可能性が高い染色体数が正常な本数でない胚)が発生する割合を下げ、流産率の低下が期待できます。

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