体外受精
不妊症の検査・治療
体外受精
体外受精とは
体外受精は、体外で卵子と精子を受精させ、その受精卵を子宮に戻す治療方法です。不妊治療の中でも特に妊娠率が高い方法で、タイミング法や人工授精では妊娠が難しい場合に行われるほか、状況によっては最初から体外受精が適用されることもあります。以下のような場合に体外受精が適しています。
- タイミング法や人工授精を3~6回試しても妊娠しない
- 卵管が詰まっている
- 多のう胞性卵巣(PCOS)や子宮内膜症がある
- 35歳以上の女性
- 精子の数が少ない、運動性が低い
体外受精の流れ
卵巣刺激
体外受精は、経口薬や注射を使って、卵胞を複数育てるための「卵巣刺激」から始まります。はらメディカルクリニックは、卵巣刺激の種類が豊富で、薬を使用しない自然周期から、卵子を多く獲得できる高刺激周期まで対応しています。月経2・3日目の卵巣の状態に合わせて、最適な卵巣刺激方法を提案します。注射は自己注射キットを使用するため通院は不要です。
LHサージ誘発
卵胞が発育し、採卵日が決まったら、卵子を成熟させるために「LHサージ」を起こします。LHサージが不足すると、卵子の成熟が不十分になり、採卵しても卵子が回収できない、受精率が低下する、受精後の胚盤胞率が低下します。はらメディカルクリニックでは、LHサージを起こすための薬を複数用意しており、必要に応じて、デュアルトリガーやダブルトリガーも保険診療の範囲内にて使用が可能です。
採卵
卵子を採取します。所要時間は10~15分です。はらメディカルクリニックは保険診療であっても静脈麻酔を使用することができるため、採卵は眠っている間に終わります。卵子は経腟から採りますが、卵子の位置が悪い場合は経腹も併用し、1個でも多くの卵子をとります。
受精
当院は受精方法を4つをご用意しています。どの方法にするのかについては、採卵当日の採取された卵子と精子所見を確認した上で「患者+培養士+医師」と直接相談してから決められます。受精障害や反復流産がある方には特殊な培養液の使用も可能です。
培養
受精卵を妊娠しやすい状態まで育てることを「培養」といいます。妊娠・出産の確率を高めるために、受精卵は5~6日間培養されることが多いですが、目的や状態によっては培養期間を短くすることもあります。培養状況はメールでお知らせします。
胚移植
培養が完了した受精卵をいよいよ子宮に戻すことを胚移植といいます。はらメディカルクリニックには胚移植のための方法として、自然周期・低刺激周期・ホルモン補充周期の3種類があります。その時の状態に合わせて最適な方法をご提案いたします。
妊娠判定
着床、妊娠すると分泌するhCGホルモンを採血検査することで判定します。hCGの数値によって妊娠の可能性が予想できます。
オプション
よくあるご質問
採卵手術では、麻酔を使えますか?
はい。当院では、保険診療の場合でも自由診療の場合でも、採卵手術に静脈麻酔を使用することができます。採卵手術は眠っている間に終わります。手術にかかる時間は10~15分です。手術が終わると、眠った状態でお部屋に移動し、比較的早く目覚めます。
受精方法は、採卵後に決められますか?
はい。採卵が終わり、麻酔から目覚めたら、培養士がお部屋に伺います。採取した卵子の数と、提出いただいた精子の状態についてご説明し、受精方法について個別に相談します。精子の状態によって必要なオプショナル治療についてもご相談ください。
顕微授精で卵に針を刺すことは、卵に悪い影響を与えないのでしょうか?
動いている精子が少ない場合や、採取できた卵子が少ない場合は、より確実な受精を実施するために、顕微授精という方法が適用されます。顕微授精では、培養士が良好な精子を選び、それを卵子の中に注入する際に、卵子に針を刺します。この行為は、卵子に一定のストレスを与え、卵子が変性するリスクがあります。そこで当院では、PIEZO-ICSIという、卵へのストレスが少ない顕微授精の方法を採用しています。この方法は微細な振動を加えることにより卵子の形態が変形しないように透明帯に穴を開けて卵子内に精子を注入します。顕微授精が必要なカップルに対して、卵子への影響を最小限に抑える方法です。
胚移植後に気を付けることはありますか?
胚移植後、「安静にしていた方が妊娠しやすいのでは」と思う方が多いかもしれません。しかし、多くの研究により、安静の有無が妊娠率や流産率に影響しないことが確認されています。通常通りにお過ごしください。「安静にしていないと移植された胚が動いてしまうのでは」と心配される方もご安心ください。移植された胚は子宮内膜の上を動きながら着床します。胚移植後は胚の力を信じ、心穏やかに過ごしてください。日常生活で「これをすれば妊娠できる」「これをしたら妊娠できない」ということは基本的にありません。